60歳からの働き方と年金、マネープラン
60歳を境に雇用・労働環境は大きく変わります。また、年金をはじめ様々な公的な給付を受けられるようになります。
ここでは60歳以降働いたり年金をもらったりするにあたり、「ぜひ押さえておいて欲しいこと」、「知っていると得すること」などをまとめておきました。よろしければ参考にして下さい。
確認しておくべきこと
60代前半の老齢厚生年金の受給権
以下の3条件を満たすと60歳台前半の老齢厚生年金の支給を受けることができます。
- 生年月日が昭和36年(女性は昭和41年)4月1日以前
- 老齢年金の受給資格(受給資格期間)を満たしている
- 厚生年金の被保険者期間が1年以上
60歳台前半の老齢厚生年金の解説ページ
年金が受け取れない間は、生活費の全てを労働によって確保しなければならないので、60代前半老齢年金が受給権の有無や支給開始時期が、60歳以降の働き方の選択や公的給付に影響を及ぼします。
年金の受給見込額
年金をいつから、どのくらい受給できるかを把握した上で足りない分を労働で補うことになるので、年金額見込額の把握は必須です。
年金の見込額は、ねんきん定期便で知ることができます。50歳以上になると加入状態が継続した場合の年金見込額も分かります。但し、見込額どおりの年金がもらえることはまずない(減額される)と考えておいたほうが良いと思われます。
参照リンク
60歳以降就労時のチェックポイント
- 収入額に応じて年金が減額されることがある(在職老齢年金)
- 44年以上働いて退職すると年金額が大幅にアップする
- 40年以上働いた人は年金額が割高になる
- 高年齢雇用継続給付で賃金額が補填される
- 失業保険を受取ると年金が支給停止になる
労働所得と年金・雇用保険給付の関係まとめ
在職老齢年金による老齢厚生年金の減額
月額換算の老齢厚生年金の額と月あたりの収入の合計が、
- 65歳未満:28万円以上
- 65歳以上:47万円以上
である場合、その額に応じて老齢厚生年金の全部または一部が支給停止となります。
但し、厚生年金の被保険者にならない働き方を選択すれば、この減額は回避できます。
減少した賃金の補填(高年齢雇用継続給付)
一般的に、60歳以降は再就職や労働条件の見直しで、それ以前に比べて賃金が大幅に下がります。
その影響を少なくするため、要件を満たした人には高年齢雇用継続給付として一定額の賃金補填給付があります。
高年齢雇用継続基本給付金
失業手当を受けずに、継続雇用や再就職をした人を対象に、65歳前までの間で支給されます。
高年齢再就職給付金
失業手当を受けた人を対象に、65歳前までの間で最長2年間支給されます。
44年間、厚生年金に加入すると年金が増額になる
60歳台前半の老齢厚生年金を受給できる人は、厚生年金の加入期間が44年以上になると年金額が大幅に増額されます。但し、この特例を受けるためには厚生年金の被保険者でないことが条件となります。
参照リンク
受給パターン
下記のページでは、「いつから、どのような給付や年金を受給できるか」のポイントと、受給パターンについて解説しています。
退職後の失業手当
失業手当の概要について、下記のページで解説しています
会社都合か?、自己都合か?
離職の理由が会社都合であれば、失業手当の支給日数が多くなります。
定年退職であっても会社都合になる可能性もあります。
詳しくは、下記のページで解説しています
あえて失業手当を受けない方が得をするケースもある
就労後の賃金補填である高年齢雇用継続給付のことを考慮すると、失業手当を受けない方がよいこともあります。
詳しくは、下記のページで解説しています
定年後にしばらくは休みたいとき
定年退職後にしばらく仕事から離れて、改めて再就職のための求職活動をする人は、受給期間の延長制度を活用してください。1年間を限度に失業手当を受給できる期間を先延ばしすることができます。
詳しくは、下記のページで解説しています
失業(雇用)保険を上手に使うためのまとめ
参照リンク
(補足)実質的な年金保険料が割高になる
これを読むと勤労意欲が低下するかもしれませんが、評価の高い(笑)ページなので、削除せずに残しておきます。
最後に
無理のない範囲でできる限り働くのがベストです。いくら年金が減額になっても、賃金とのトータルでは手取り額は必ず増加するし、将来の年金額も増加します。
ただ、自分にはどのような選択肢があるのかを正しく理解していれば、よりよい第2の人生を送ることの助けとなります。また、会社勤めの頃は各種手続きは会社任せにしておけば済みましたが、退職後は全て自分でやることが多くなります。その意味でもいろいろなことを前もって知っておいて損はないはずです。
ここでは収入面についてのみお話してきましたが、ライフプランを立てる上では支出面も考慮する必要があります。年とともに稼得能力の低下は避けられないので、むしろ支出を管理する方が大切といえます。民間の保険や年金、資産管理についての知識も必要でしょう。
ライフプランに関連する書籍は多くあるので自分で勉強する環境は整っていますが、難しい、面倒だと感じたらプロであるファイナンシャルプランナーに相談するのも一案です。その際は年金や雇用保険など公的給付に精通しているプランナーに相談することをお勧めします。