65歳未満の在職老齢年金の支給停止額計算(令和4年3月までの旧制度、備忘録として)
注意!!!
令和4年4月から在職老齢年金制度が改正されて、ここで紹介されているしくみではなくなりましたが、備忘録としてこのページを残しておきます。
60歳未満在職老齢年金の支給停止計算式
一般的に65歳未満の在職老齢年金の支給停止額はこのような式で計算するとされています。
基:基本月額
総:総報酬月額相当額
(基 ≦ 28万)、かつ、(総 ≦ 47万)の場合
(総+基-28万)× 1/2
(基 ≦ 28万)、かつ、(総 > 47万)の場合
(総+基-28万)× 1/2 +(総-47万)
(基 > 28万)、かつ、(総 ≦ 47万)の場合
(総)× 1/2
(基 > 28万)、かつ、(総 > 47万)の場合
(47万 × 1/2) + (総-47万)
基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以下のときは、減額がありません。
上記の式で求めた支給停止額が老齢厚生年金の額を上回るときは、全額が支給停止となります。
28万円は支給停止調整開始額、47万円は支給停止調整変更額と言われるもので、毎年度、見直しが行われます。
別にこれでも構わないのですが、以前、私が社会保険労務士試験の受験生だったとき、「こんな式、とても覚えられない!、何とかならないか?」との思いで、もっと楽に計算する方法を考えました。
よろしければ参考にしてください。
基本的な考え方
(ステップ1)
基本月額が28万円(支給停止調整開始額)に満たない場合は、28万円との差額を計算します。28万円以上の場合はゼロとします。
この金額をAとします。
(ステップ2)
総報酬月額相当額を47万円(支給停止調整変更額)以下の部分と超える部分に分割します。そして、
- 47万円以下の部分はAをマイナスした後に1/2を掛けます
- 47万円を超える部分の額を計算します
この2つを合計した額が、老齢厚生年金の支給停止額になります。
支給停止額が基本月額以上になれば、その月の老齢厚生年金は全額支給停止となります。
まとめ
計算例
ここでは例として、支給停止調整開始額=28万円、支給停止調整変更額=47万円で計算しています。
・基本月額:10万円
・総報酬月額相当額:20万円
(総報酬月額のうち47万円以下の部分)
28万円と基本月額(10万円)の差額は18万円、従って、総報酬月額(20万円)から18万円を差し引き、その2分の1にあたる1万円が支給停止額になります。
(総報酬月額のうち47万円を超える部分)
なし(ゼロ)
・基本月額:20万円
・総報酬月額相当額:50万円
(総報酬月額のうち47万円以下の部分)
28万円と基本月額(20万円)の差額は8万円、従って、総報酬月額(47万円までの部分)から8万円を差し引き、その2分の1にあたる19.5万円が支給停止額になります。
(総報酬月額のうち47万円を超える部分)
47万円を超える部分は3万円(50万-47万)。その全額が支給停止額に加算されます。
以上の結果、支給停止額の合計は基本月額を超える(19.5万+3万=22.5万)こととなり、この月の老齢厚生年金は全額が支給停止になります。
・基本月額:30万円
・総報酬月額相当額:20万円
(総報酬月額のうち47万円以下の部分)
基本月額が28万円を超えるので、2分の1にあたる10万円が支給停止額となります。
(総報酬月額のうち47万円を超える部分)
なし(ゼロ)
・基本月額:30万円
・総報酬月額相当額:50万円
(総報酬月額のうち47万円以下の部分)
基本月額が28万円を超えているので、47万円の2分の1にあたる23.5万円が支給停止になります。
(総報酬月額のうち47万円を超える部分)
47万円を超える部分は3万円(50万-47万)。その全額が支給停止額に加算されます。
以上の結果、支給停止額は26.5万円(23.5万+3万)となります。