老齢年金の源泉徴収額計算事例
事例
- 年齢:65歳
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金(加給年金ふくむ)の合計額:250万円
- 年金から天引きされた社会保険料:10万円
- 配偶者:57歳の専業主婦(所得38万円以下)
扶養親族等申告書を提出した場合
- (社会保険料控除後の年金総額-控除額)×5.105%
1円未満の端数は切り捨て
本来の税率は5%ですが、平成49年12月31日までに支給された年金についてはこの税率に対してさらに2.1%の復興特別所得税が加算されます(5%×102.1%=5.105%)。
年金から社会保険料が控除されているときには、控除した残額に相当する年金の支払いがあったものとみなして源泉徴収額が計算されます。
(控除額の内訳)
控除額は、
- ①基礎的控除
- ②人的控除
の、2つの要素から成ります
1.基礎的控除額
老齢年金の支給金額の月割額×25%+6万5,000円
(上記計算の結果、65歳以上の人の場合では13万5000円未満のときには13万5000円、65歳未満の人の場合では9万円未満のときは9万円とします。)
2.人的控除
本人が障害者、寡婦(寡夫)に該当する場合、扶養親族がいる場合はその内容と数に基づき年金額から控除されます。
(控除額の計算)
源泉徴収額計算の元となる年金額
250万円-10万円=240万円
65歳以上の場合の基礎的控除額(月額)は、
年金の月額(*2) × 25% + 65,000 、よって
240万÷12月×25%+65,000=115,000円となりますが、135,000円に満たないため、135,000円となります。
*2)
4の整数倍でないときにはその額を超え、かつ最も近い4の整数倍に切り上げます。
このケースでは配偶者控除の対象となる妻がいるため、人的控除として32,500円が控除額に加算されます。
また、この事例では該当しませんが、他にも扶養親族いる場合や年金受給者が障害者である場合には更に控除額が加算されます。
よって、ひと月あたりの源泉徴収税額は、
(年金月額-控除額合計)×5.105%、なので
(20万-(13.5万+3.25万))× 5.105% ≒ 1659円 となります。
扶養親族等申告書を提出しない場合
扶養親族等申告書を提出する場合と比べて異なるのは以下の4点です。
- 配偶者控除等の人的控除を受けることができない(社会保険料天引き分の控除はあります)
- 税率が10.21% になる
- 基礎的控除額が年金支給額の25%だけになる
- 基礎的控除額の最低保障額がない
従って社会保険料が天引きされた後の年金額から基礎的控除として25%を差引き、残りの75%に税率(10.21%)を掛けるので、結果的に「(社会保険料天引き後)年金額 × 7.6575%」が源泉徴収額となります。
この事例ではひと月あたり、
20万円 × 7.6575% ≒ 15,315円が源泉徴収されます。
扶養親族等申告書を提出した場合よりもかなり高額な源泉徴収額になります。