フリーターをしています、厚生年金に加入するメリットを教えてください

厚生年金は正社員として働く人のためだけのものではありません。アルバイトでも条件次第で加入することができます。毎月の給与から保険料が天引きされて手取額が減るので、何となく損をしたような気になるかもしれませんが、ハッキリ言って、いいことづくめです。
ここでは、どんなメリットがあるのかを具体的にお話します。
メリット1:年金額が増える

老後にもらう年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つあるのはご存知ですよね

もちろん

このうち、老齢厚生年金は厚生年金に加入したことのある人だけに支給されるものです

具体的にどのくらい年金が増えるのかを簡単に検証してみましょう!
事例:月額の給与が15万円の場合
老齢厚生年金の基本部分は報酬比例部分といいます。報酬比例部分はその名のとおり、厚生年金加入期間中に受取った給与の総額(税金や社会保険料が天引きされる前の額)に比例して増えていきます。
具体的には、およそ給与総額の0.55%が老齢厚生年金の額になります。
従って、月額給与(税金と社会保険料の天引前)が15万円の場合、ひと月毎に、
15万円 × 0.55% = 825円
の老齢厚生年金が増加するので、1年で約1万円、10年で10万円くらいの老齢厚生年金が増える計算になります

そうは言っても、年金保険料を払うから、結局、負担増になって手取額が減るんだよね

ところが、そうでもないんですよ

年金が増えるのに、保険料負担が減るってこと?
そんな都合のいい話があるの?

そのあたりついて、次の章でお話しましょう
メリット2:保険料負担が軽減される

年金額が増えるだけでなく、その上、支払う保険料が少なくなることだってあるんですよ

そんな都合のいいことあるの?
事例1:月額の給与が15万円の場合の保険料(平成30年度)
1.厚生年金に加入しているとき(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
13,725円(厚生年金の自己負担分保険料)
2.厚生年金に加入していないとき(老齢基礎年金のみ)
16,340円(国民年金の保険料、所得に関係なく一律)
国民年金の保険料を払っても老齢基礎年金の額が増えるだけです。しかし、厚生年金の保険料を払うとプラスして老齢厚生年金の額も増えます。
このケースでは厚生年金に加入していると、毎月の保険料が2,615円安くなるにも関わらず、ひと月保険料を払う毎に老齢厚生年金が825円(150,000円×0.55%)づつ増えるので、この825円分が国民年金の保険料を払っている場合との差額になります。

15万円なら厚生年金の保険料のほうが安いみたいだけ、給料が高くなれば保険料も上がるんだよね

では、20万円の場合で調べてみましょう
事例2:月額の給与が20万円の場合の保険料(平成30年度)
1.厚生年金に加入しているとき(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
18,300円(厚生年金の自己負担分保険料)
2.厚生年金に加入していないとき(老齢基礎年金のみ)
16,340円(国民年金の保険料、所得額に関わらず一律)
このケースでは、厚生年金の保険料の方が月額で1,960円高くなりますが、その代わり受取る年金額が厚生年金に加入していないときと比べて、ひと月分の保険料を払う毎に約1,100円(200,000×0.55%)多くなります。
従って、たった2年間(1,960÷1,100)、年金を受取るだけで増えた保険料分をペイできる計算になります。

もっと稼いでいるフリーターの方もいらっしゃると思いますが、少なくとも20万円までくらいなら厚生年金に加入していた方が圧倒的にトクだとおわかりいただけたでしょうか?
メリット3:障害年金が手厚い

障害年金を受給できる障害状態には障害の程度が重い順に、1級、2級、3級があります。
厚生年金に加入していないと、障害等級が1級か2級に該当しなければ障害年金が受けられないのに対して、加入中に初診日のある障害に対しては3級までが支給の対象になります。

1級や2級というのは相当に重い障害で、仕事に差し支えがある程度の障害では認定されません

3級は?

3級であっても重い障害であることは変わりありませんが、1級や2級に比べれば認定のハードルは低くなっています
それに1級や2級のときは老後の年金と同じように、障害基礎年金に加算して障害厚生年金がもらえる点も大きなメリットです
障害の原因となった病気やケガになったときに厚生年金に加入していなければ、障害基礎年金しかもらえません
メリット4:病気や怪我で働けないときの収入保障がある(傷病手当金)

障害年金をもらうためには障害認定を受ける必要がありますが、傷病手当金は病気や怪我で就労できないことを医師による診断書等によって証明できれば受給することができます。
支給額は概ね日給換算した給与額の3分の2で、最長1年6ヶ月の間支給されます。万が一、退職する事になっても支給の条件を満たしてる間は継続して受けることもできます。
傷病手当金は厚生年金ではなく健康保険から支給されるものですが、通常は厚生年金に加入している人は健康保険にもセットで加入しています。

例えば、月に13.5万円もらっている人だと、30で割って1日換算で4,500円、その3分の2にあたる3、000円が日額の支給額になります

働けない状態だったら、休日とか、元々働く予定がなかった日でも支給されるの?

もちろん支給されますよ
でも、月給制だったり有給を使って休んでいるたりすると、会社から受取った分と調整されて、支給額が減らされたり全くもらえないことだってあります

日給制とか時給制とか、仕事を休むと給料がもらえない人にとっては、とても助かる制度だね
- 病気やケガで働けないときの強い味方、傷病手当金とは?