44年特例の年金をもらうメリットとデメリットは?
Introduction

まずは44年間、厚生年金に加入したときの特例制度について、簡単におさらいしておきましょう
- 44年間、保険料を払うと年金がたくさんもらえる!?

メリットは言うまでもなく、年金額が増えることですね

でも、仕事を辞めないといけないんだよね

正確に言えば、厚生年金に加入しなければいいんですけど、そうなると仕事も限られてくるし、実際には簡単ではありません

そこで、特例年金をもらうために仕事を辞めたときのメリット、デメリットについて整理してみましょう
ポイント1:収入面の比較

44年特例の年金になると、当たり前の話ですが、年金額が増えます
しかも78万円とか、場合によっては117万円、ハンパな額ではありません

でも、厚生年金に加入しない働き方ができないと、無職になって給与所得はゼロになるんだよね
もらえる年金額以上に稼いでいる人は、トータルの収入が減っちゃうってことか

ええ、そうなります
ただ、月額の給与が8.8万円に満たなければ、そもそも厚生年金に加入できないので、このような問題は起きません
つまり、働いて給与をもらいながら特例の年金を受取ることができます

でも、いくらなんでも定年延長で60歳以降も継続雇用されてる人の月給が8.8万円にもならないってことはないよね
給料が60歳以降は減額されるって言っても

ですよね
年収が300万円くらいの人だとトータルで約200万円の減収になります
ポイント2:健康保険の保険料負担

退職後に誰かの扶養になれば健康保険の保険料負担がなくなります
例えば、サラリーマンの息子さんと同居しているような人の場合は、息子さんの扶養という形をとれば、実質的に保険料負担はなくなります

そうでないときには?

自分の全額負担で国民健康保険に加入しなければなりません
あと、奥さんが健康保険の扶養扱いになっていた人は、会社を辞めて健康保険から外れると奥さんの分の国民健康保険料も発生します

会社勤めのときは健康保険の保険料は会社が半分負担してくれただけなく、追加負担なしで奥さんなどの扶養家族も会社の健康保険で面倒をみてもらえました
でも、退職してしまうとそれらメリットが全てなくなってしまいます
その点は十分に考慮してください
ポイント3:再就職

44年特例は65歳になる前までで終わり、代わりに65歳からは老齢基礎年金が支給されます

老齢基礎年金はどれだけ働いても年金額が減ることはないよね、確か
ならば、また社会復帰したいと思う人も多いんじゃないかな?

でも、現実はそんなに甘くないですよ

どうして?

会社を辞めて65歳になるまでの間、就業のブランクが発生します
採用側は、ブランクがあることをネガティブに捉えます
ましてや、年齢的にも既に65歳になっています
「65歳、しかも今まで働いていなかった人が、ちゃんと働けるのか?」と考えるのが自然です

実際、無職の間で相当、鈍ってしまうだろうね、肉体的にも精神的にも、しかも65歳だし

65歳以降もしっかり働きたい、生涯現役を目指すのであれば、この点、つまり就労のブランクを作らないことも重要なポイントになります

ちなみにですが、総務省のまとめた統計によると、2017年時点で65歳以上の男性の就業率は31.8%となっています
高齢者の就業率は毎年着実に上昇しているので、「65歳以上でも働くのは普通」、という時代が近いうちに到来するのは確実でしょう
仕事を辞めてまでも44年特例を受けるのは割りに合わない!?

この特例って、すごく年金額が増えて得な感じするけど、まだ十分に働けて働く場所がある人にとっては、あんまりメリットがないみたいだね

仕事を辞めると自由な時間が手に入る、と思っている方も多いようですが、案外そうでもないみたいですよ

と言うと?

むしろ、みなさん有り余る時間を潰すのに苦労しているみたいですよ、
有り余るくらいのお金を持っている人を除いては

高齢になると、社会との接点を持つことがなによりも重要だしね