離婚したら、夫の年金の半分がもらえるって、ホント?
離婚の判断は慎重に!

離婚したら、ダンナの年金が半分もらえるって聞いたけど、本当なの?

ウソです

...

よくそう言われるようだけど、分割の対象になるのは配偶者の年金の一部で、しかも、そのうちの最大でも2分の1しか分割されないんですよ

ずいぶんショボいわね

ええ、ショボいですよ
だから、年金目当てに離婚なんて考えない方がいいと、私は思います
分割の対象となるのは老齢厚生年金のみ

離婚したときに年金がどうなるかについて説明する前に、老後の年金について簡単におさらいしておきましょう

確か、老後の年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金だったわよね

そうです、そのうち、分割の対象となるのは老齢厚生年金だけになります
老齢基礎年金については分割の対象になりません

老齢厚生年金の方は、半分がもらえるのね

いいえ、この、「2分の1」の意味はかなり複雑です
では、具体例を挙げて説明をしましょう
老齢厚生年金の額はどのように決まるのか

でも、その前に、老齢厚生年金の額が、どのように決まるのかを説明しておきましょう
老齢厚生年金は、支払った保険料の額で決まり、その保険料はサラリーマンやOL時代に受取った給与や賞与の総額に比例します

お給料やボーナスが高くて、長く勤めていた人ほどたくさんもらえるのね

そうです、これを報酬比例部分というのですが、このほかにも老齢厚生年金には定額部分というものがあります
でも、離婚して分割される年金については定額部分は全く無視してかまいません

外で働いている夫はお給料をもらって老齢厚生年金がたくさんもらえるけど、主婦はそうはいかないから、国の制度で分けてくれるんだ
国が「内助の功」を、ちゃんと評価してくれてるのね
分割の具体例

では、ここからは具体例をあげて説明しましょう
前提として、ご主人は全婚姻期間を通してサラリーマン、つまり第2号被保険者であったとします

まず、妻側の期間を3つに区分します
1.婚姻外の期間
(以下、婚姻中の期間)
2.3号期間(平成20年3月以前)
3.その他の期間

まず、当然のことですが、婚姻外の期間については分割の対象になりません

3号期間っていうのは、専業主婦とかパートとかで厚生年金に加入していない期間よね
「その他の期間」って具体的に何?

共働きでアヤカさんも厚生年金に加入していた期間や、あと、3号になれるのは20歳から60歳になる前までなので、20歳未満や60歳以降は「その他の期間」に分類されます
その他、3号期間でも平成20年3月以前は、その他に分類されます

分割には2種類あり、それが3号分割と、合意分割です
まず3号分割から説明しましょう
平成20年4月以降の第3号被保険者期間については相手となる配偶者の同意がなくても、請求するだけで半分が3号のものになります、この場合は夫の老齢厚生年金が妻に分割されます

「この場合は」って、逆もあるの? 妻から夫へとか

もちろんあり得ます、年金の分割に関しては、この後で説明する合意分割も含めて男女の区別は全くありません
例えば、夫が専業主夫として家事や育児に専念しているような家庭では、妻から夫に年金が分割されることもあります

あと、「その期間について半分が分割される」っていうのも、わかったような、わからないような...

期間との関係については、具体的な数字を挙げながらでないと説明が難しいので、今回は概要をつかむつもりで聞いてくださいね
数字を使った具体例は次回、詳しく解説します

で、もうひとつの合意分割っていうのは?

まず、合意分割に先立って、先程説明した3号分割が行われます
その上で、額が少ない方から多い方へ年金が分割されて、その結果、少なかった方の年金額が増えるのですが、その上限が2分の1、つまり受取る側の方が多くなることはありません
繰り返しになりますが、この割合なるのは婚姻期間の老齢厚生年金の報酬比例部分だけですよ、老齢基礎年金は完全に個人に属するものなのでアンタッチャブルです
それに、ここでは典型例ということで夫から妻へ渡されることになっていますが、少ない方から多い方へ渡すのが合意分割だということをお忘れなく

この2分の1って数字が一人歩きしたってことね
でも、上限が2分の1ってことは渡す額に幅があるってことね、どうやって割合を決めるの?

それは当事者である、おふたりで決めることです
と、いいますか、合意分割それ自体が、両者の合意がなければできなことにことになっています、割合ウンヌン以前の問題として
分割をするのに合意が必要な事と、分割の割合を2分の1までの範囲内で話し合って決める点が、3号分割と大きく異なります

もし、どっちかが話し合いを拒否したらどうなるの?、あと決裂したときとか

調停などを経ても合意に至らなければ、最終的には裁判になります
その場合、多くは離婚時の財産分与の一環として扱われることになると思われます

今回の解説では、具体的な数字を示していないのでイメージが掴みにくいかと思います
次回は数字を使って解説しますので、ここでは大まかなイメージをしっかりと把握しておいてくださいね
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