「取りっぱぐれ」があることを前提とした制度
日本は国民皆年金といわれ、現役世代の全員が何らかの公的年金制度に加入して、建前上はすべての人が年金をもらうことができることになっています。ところが、これまでは保険料を払うことは義務とはいえ、実際にはかなり任意性が高く、確信犯的に保険料を納めない人が国民年金の1号被保険者を中心に大勢いました。(近年では、保険料未納については、かなり厳しい姿勢となっているようです)
保険料を払わない人には年金を支給しなければいい、自業自得だからとドライに割り切ればいいのですが、そこは社会保障の根幹である年金制度、国民皆年金の建前を維持するために、どうしても甘くなってしまいます。その結果、いろいろな救済のしくみがあって、制度が複雑になってしまうのです。
その一方で支給の要件は厳格に定められています。特に遺族年金は誰が受け取ることができるかを明確に定めないと、遺族の間で揉め事が絶えなくなってしまいます。とは言っても現実はそれほどシンプルではありません。様々ケースが現実には存在し、特殊とはいえ、誰が受給できるのか特定するのが難しいケースも多数存在します。