繰上げで早くから年金を受取ろうと考えています、損得について教えてください

年金の支給を繰上げて受け取る人は、繰下げる人の何十倍もいるんですよ
繰下げれば年金額は増えるけど、繰上げれば逆に減ってしまうのに

いつ死ぬかなんてわからないし、もらえるうちにもらっておこう、って考える人が多いんだろうね

そう考えて、年金が無くても生活できる人まで繰上げてもらっているようですね
でも、本当のところはどうなのか、数字を使って検証してみましょう
年金繰上の概要

繰上の損得についてお話する前に、概要について触れておきましょう

最長で5年繰上げる事ができるってことは、65歳からもらうのが原則の人は、いちばん早くて60歳からもらえるってことだね

そうです
繰上はひと月単位ですることができるのですが、ひと月繰上げる毎に0.5%が減額となります

5年繰上げると、「0.5% × 60ヶ月」ってことで、30%も減額になるんだ

そうです、それに一旦繰上げてしまうと、もう、元には戻せません
繰上げは月単位ですることができるので、どうしても繰上げざるを得なくなってからでも遅くありません
だから、くれぐれも慎重に判断してくださいね
繰上げたときの損得の分かれ目

実は、繰上げた人のうち、大部分は損と言うか、結果的に受取る年金が少なくなっているのです
下の表を見てください

支給開始が65歳の人が60歳から繰上受給すると30%の減額がずっと続きます
そのため、76歳になると繰上げなかった場合の方が受取総額が多くなるのです

76歳以上まで生きていると、結果的に損をしてしまう、ってことなんだね

同様に、損得の分かれ目になる年齢は61歳から繰上げた場合は77歳、62歳から繰上げた場合は78歳、63歳の場合は79歳、64歳の場合は80歳となります

今の時代、男性でも平均で80歳近くまで生きるし
だから繰上るとほとんどの人が、結果的に受取る総額が減ってしまうんだ

女性の場合を考えてみましょう、現在では女性の平均寿命は87歳を超えています
下の図を見てください

この表は年金額が100万円の人が87歳まで生存した場合の、繰上を行ったときと行わないで65歳から年金を受取ったときの受取総額の差額の概算を示しています

60歳から繰上げると約340万円も減っちゃうんだ、64歳からでも約44万円減るのか
でも、これは女性の場合でしょ、男性は女性ほど長くは生きられないんだから

では、男性の場合はどうなるかもみていきましょう
男性の平均寿命はおよそ80歳になります

女性ほどではありませんが、この概算では、やはり受取総額は減ってしまいます
60歳から繰上げたときには約130万円、64歳からでもおよそ2万円ほど減ってしまう計算になります
繰上は月単位で行うことができます、何もあわてることはありません
だから、経済的に必要になるまで、なるべく控えるほうがよいのでは?、というのが私の提案です

今回は繰上げのお話をしましたが、逆に繰下げて支給開始を遅らせると、こんどは年金額が増えるメリットがあります
ご興味のある方は下記のページを参考にして、繰下げについてもぜひ検討してくださいね
- 年金の支給開始を繰下げた(遅らせた)ときのメリットは?
支給開始の繰下げについては、下記のページで解説しています
- 老齢年金の繰上
- 老齢年金の支給を繰上げるときの注意点