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老齢厚生年金の報酬比例部分の額改定と加給年金開始のタイミング

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老齢厚生年金の報酬比例部分は在職中に毎月及び賞与支給時に支払う保険料の累計額によって決まります。しかし在職中に支払っている保険料は、年金額が再計算されるまで反映されません。

同様に加給年金も受給の要件を満たしたら即、支給されるわけではありません。ここでは報酬比例部分増額(再計算)と加給年金支給開始のタイミングについて解説します。

老齢厚生年金の報酬比例部分と加給年金については下記のページを参照してください

報酬比例部分改定のタイミング

報酬比例部分の改定は以下のタイミングで、過去の厚生年金被保険者期間が反映された年金額に再計算されます。

  • 退職時改定
  • 本来の老齢厚生年金開始年齢(65歳)
  • 厚生年金の被保険者終了(70歳)

退職時改定

退職後、新たに厚生年金の被保険者となることなく1ヶ月を経過すると、経過した日が属する月から報酬比例部分が再計算された年金額になります。
(ex.)
3月20日が退職日(最後の日)だとすると、翌日の21日が資格喪失日となります。そのため4月21日が「ひと月が経過した日」となり、再就職日がこの日以降、もしくは再就職しなければ「ひと月が経過した日の属する月」である4月から年金額が増額改定されます。

本来の老齢厚生年金開始年齢(65歳)

60歳台前半(特別支給)の老齢厚生年金の支給は65歳の誕生日の前日が属する月までとなり、その翌月から本来の老齢厚生年金が支給されて報酬比例部分の額も再計算されます。従って正確に言えば年金額の改定ではなく60歳台前半(特別支給)の老齢厚生年金が失権になると同時に、新たに本来の老齢厚生年金の受給権が発生し、年金額が再計算されることになります。

従って、そのタイミングで老齢厚生年金もそれまでの被保険者期間も反映して年金額が増額になります。

厚生年金の被保険者終了(70歳)

70歳になると老齢年金の受給に必要な受給資格期間が不足している場合を除き厚生年金被保険者の資格を喪失して、これ以上は老齢厚生年金額は増えません。そのため、以降就労を続けても70歳で上記の退職時改定と同様に年金額が改定されます。

在職中(65歳以上70歳未満の期間)定時改定制度(令和4年度法改正)

9月1日において一定の要件を満たした厚生年金被保険者は、8月までの被保険者期間に支払った保険料の総額をもとにして報酬比例部分の額が再計算、増額改定されます。

詳しくは下記のページで解説しています

加給年金が加算されるタイミング

加給年金支給タイミング1

老齢厚生年金の加給年金は、厚生年金と旧共済年金の被保険者期間を合わせて240月以上の老齢厚生年金(65歳以降の本来の老齢厚生年金)受給者に対して支給されます。従って加算開始のタイミングは240月の要件を満たした月以後で直近の上記報酬比例部分改定タイミングと同じになります。

厚生年金長期加入者特例の場合

加給年金支給タイミング2

厚生年金の被保険者期間が44年以上であるため厚生年金長期加入者特例による60歳台前半の老齢厚生年金を受給できるときには、同時に加給年金も開始になります。

報酬比例部分改定の事例

62歳から報酬比例部分が支給され、65歳以降に退職と再就職をした事例を示しています。支給開始後、65歳になる前までに支払った保険料が65歳の本来厚生年金支給開始時から反映され、その後は退職日の翌日から1ヶ月を経過した日が属する月、70歳到達月の翌月にそれまでの保険料が反映されます。

下図で示したタイミング以外に在職中の報酬比例部分定時改定でも報酬比例部分の額が改定されます。

図表の到達月とは、各誕生日の前日が属する月を指します。

報酬比例部分改定のタイミング

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