障害年金の初診日
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初診日となりうるケース
初診日とは、もちろんその傷病について最初に医療機関を受診した日のことですが、実際には様々なケースが想定されます。
健康診断
健康診断により治療の指示を受けたり異常が指摘されたときは健康診断の日となることもあります。
誤診等
病名が特定できなかったり誤診等により傷病が確定されなかったときでも、その誤診等をした最初の医療機関を受診した日が初診日となることがあります。
再発
過去の傷病が治癒し、再発後最初に医療機関に受診した日が初診日となることがあります。
精神障害
心療内科や精神科を受診する前に精神障害を原因とする胃腸障害や頭痛、不眠などで医療機関を受診したときは、最初に内科等へ受診した日が初診日となることがあります。
社会的治癒
障害年金には社会的治癒という概念があり、初診日の決定に影響を及ぼすことがあります。
相当因果関係
前の傷病がなければその後の傷病も起こらなかったであろうと推定されるとき、前後の傷病には相当因果関係があるといいます。この様な相当因果関係が認められる場合には、先に発症した傷病ではじめて診療を受けた日が初診日となることがあります。
(相当因果関係あり)
- 糖尿病と糖尿病性網膜、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
- 糸球体腎炎(ネフローゼをふくむ)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎の後の慢性腎不全
- 肝炎と肝硬変
- 結核の化学療法の副作用による聴力障害
- 手術後の輸血により併発した肝炎
- エリテマトーデスの治療過程において、ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐食性壊死が生じた場合
- 事故または脳血管疾患による精神障害
- 肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたもの
- 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたもの
(相当因果関係なし)
- 高血圧と脳出血、脳梗塞
- 糖尿病と脳出血、脳梗塞
- 近視と黄斑部変性、網膜剥離、視神経萎縮
- 前疾病と負傷
初診日の証明
初診日から年月が経過している場合
医療機関のカルテの保存は5年(以上)と定められています。また廃業によってすでに医療機関が存在していないこともあります。
このようなケースは決してまれではありません。事後重症によって障害等級(1級~3級)に該当した場合、初診日から相当年月が経過後に初診日の証明が必要になります。
また一般的に障害年金といえば事故によって体が不自由になる場合に支給されるものであると思われていることが多いので、長い間そもそも自分が障害年金の支給対象であることを知らなかったこともよくあることです。
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初診日証明の緩和措置
障害年金を受給するには初診日がいつなのかを明確にすることが必須となります。なぜならば、受給の要件として「初診日の前日において保険料納付要件を満たさなければならない」と定められているからです。初診日を明確でないと、保険料納付要件を判定できないのです。
初診日がはっきりとしないだけの理由で障害年金が不支給になることが問題視されていました。そのため初診日の証明についてルールが改正され、初診日の証明について幅をもたせることにより、より多くの人が障害年金を受給できる措置がとられました。
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障害厚生年金の初診日要件
会社を辞めてから医療機関を受診したのでは障害厚生年金の初診日要件を満たすことはできません。特に、精神的に追い詰められて体調不良から退職せざるを得なくなったような場合は、後にうつ病であったことが判明することも考えられます。疑わしい場合は必ず会社を辞める前に医療機関にかかり、在職中に病名を確定しておくことが大切になります。