第3号被保険者は保険料を支払っていないから不公平、は本当か?
主に主婦である第3号被保険者は保険料を払ってないので、何かと風当たりが強いようです。厚生年金の被保険者は被扶養配偶者である第3号被保険者がいる、いないに関わらず保険料が同じなのは事実です。でも本当に不公平なのでしょうか?
第1号被保険者との比較
巷では、よくこんなことが言われています。
「サラリーマンの妻になれば保険料を払わなくても国民年金がもらえるのに、自営業者と結婚したら自分で保険料を負担しなければならない。」
全くそのとおりです。では、両者の間に不公平はあるのでしょうか?
見方はいろいろあるかもしれませんが、第1号被保険者が支払った保険料が第3号被保険者の給付に回されることはありません。
ご存知のように、国民年金第1号被保険者(もちろん自営業者の妻も該当します)の保険料は定額です。しかし、厚生年金の保険料は報酬、つまり給与や賞与の額に応じて変わります。正確なデータがないのではっきりしたことはいえませんが、厚生年金の被保険者の方が国民年金第1号被保険者よりも、全体として多額の(老齢基礎年金給付の財源となる)保険料を負担していると考えて間違いありません。もちろん老齢基礎年金に対する負担は違っても保険料納付済期間が同じならば受給できる老齢基礎年金の額は変わりません。
この説明がよく分からない方は下記のリンクページを参照してください。
つまり、第1号被保険者の基礎年金給付に、むしろ厚生年金の(第2号被保険者が支払う)保険料から補填してもらっているといえます。第1号被保険者が第3号被保険者の給付のための費用を負担していない以上、両者の間に不公平があるとは言えないと思われます。基礎年金給付の2分の1は税金で賄われていますが、この条件は1号も3号も同じです。
第2号被保険者との比較
では、第3号被保険者の保険料は誰が負担しているのでしょうか?
もちろんそれは第2号被保険者、つまり、サラリーマンやOLなどの会社員が全員で負担をしています。従って、不公平だと物申すことができる人がいるとすれば、それは第2号被保険者だということになります。
ただし一口に第2号被保険者といっても様々な人がいます。
将来結婚する独身者
新卒で働きだして数年の間はほとんどの人は独身でサラリーマン、OLとして厚生年金の保険料を支払い、その一部が第3号被保険者の保険料に回されます。しかし将来結婚すれば、多くの人は逆に第3号被保険者制度の恩恵に預かることになります。
被扶養配偶者のいる既婚者
第3号被保険者である妻の保険料を直接支払わなくても妻には年金が支給されるので、第3号被保険者制度の恩恵を直接受けることができる人といえます。
生涯独身者
ここに該当する人は生涯に渡り3号の保険料を負担するだけで恩恵はないので、多くの人は不公平と感じるのではないでしょうか。しかし、日本の年金制度は世代間扶養の考えに基づく賦課方式です。自分が老後に受取る年金は、その時の現役世代の働きによるものです。つまり第3号被保険者いる家庭が(少なからぬお金を使い)育てた子が現役世代になったときに納める保険料が自分の年金になることを考えると、多少の負担は止むを得ないのではないでしょうか。(あくまでも私見です)
問題はないのか
だからといって問題がないとは思いません。明らかに損をする人と得をする人がいるからです。
子育てをしながら2号として働き続ける人
子育てをしながら働くことがどれほど大変なことか、ここで改めて言うまでもないことです。特に何らかの事情でシングルマザーとなって会社で働いている人はなおさらです。第3号被保険者としての恩恵を受けられないばかりか、厚生年金の被保険者として他人である第3号被保険者の保険料まで負担しなければならないのは余りに理不尽です。
生涯に渡り子供のない専業主婦が第3号になった場合
子をもうける、もうけないの選択はもちろん自由です。様々な事情によって子供がほしくても持てない人も大勢います。しかし、子育ての負担がない専業主婦まで一律に保険料を免除することには違和感を覚える人もいるはずです。
今回のトピックについては基本的に事実に基づいているつもりですが、私見や個人的な意見が多く混在しています。そのため異論や反論が多くあることも承知しています。3号制度については以前から多くの意見がありますが、みなさんはどう考えますか?