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失業手当の会社都合と自己都合(令和1年8月~2年7月)

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失業手当の概要は下記のリンクを参照してください

一般に、自分から会社を辞めたときには「自己都合」、リストラや解雇されたときには「会社都合」で辞めたと言われています。

会社都合だと、失業手当がたくさんもらえるので、どちらかを気にする方もいるようです。そこで、両者の違いについて解説します。

失業手当の受給資格者の種類

基本手当(以下、失業手当)受給資格者には以下の3種類があります。

  • 就職困難者
  • 特定受給資格者(会社都合
  • 上記2つに該当しない一般の離職者(自己都合

・就職困難者とは障害、社会的事情等により就業が著しく阻害されている人を指します
・就職困難者と特定受給資格者のどちらにも該当する人は就職困難者となります

この3者の大きな違いは失業手当の所定給付日数にあります。この中で最も所定給付日数が多い、つまりたくさんの失業手当をもらえるのが就職困難者、次が特定受給資格者及び特定理由離職者で、最も少ないのがそれ以外の一般の離職者となります。

「会社都合」による離職者とは特定受給資格者のこと

「会社都合」で辞めた人は、上記の特定理由離職者に該当します。

この特定受給資格者は大きく、下記の2つに分類されます。

  • ①事業の倒産、縮小、廃止による離職
  • ②解雇等による離職

事業の倒産等による離職

会社が倒産したときだけでなく、事業の縮小に伴って大量の人員整理が行われたときや、事業所が移転しても介護等の家庭の事情で転居が困難なときも特定受給資格者となる可能性があります。

解雇等による離職

こちらは大変多岐に渡っています。会社に指名されて解雇となった場合だけでなく、追い出し部屋に「配属」されて暗に退職を求められたような場合もあてはまると思われます。

また、賃金未払い、予期せぬ減給、長時間労働、労働契約不履行、健康を害するおそれがあるのに適切な配置転換が行われない、セクハラやパワハラを受けた、法令違反をした等の問題企業を自主的に離職する場合も特定受給資格者となる可能性があります。

特定受給資格者に関する法令

特定受給資格者に関する該当基準は、法令で細かく規定されています。

このページの最後に参考資料として掲載しておきます。

手続き

離職するにあたり事業主から離職票を渡されます。そこには離職理由の記入欄があり、「事業主の見解としての」離職理由が記入されています。その理由に異議があれば、その旨を離職票に記入した上でハローワークに提出します。

自分では会社都合(特定受給資格者)であると考えていても事業者側はそうでなく、自己都合によるものとして離職票に記入していることがよくあります。

そのような場合は労働契約書、給与振込の銀行口座の預金通帳、タイムカードの写しなどの資料提出を求められることがあるので、ハローワークの指示に従ってください。

自己都合による離職

上記の特定受給資格者や就職困難者に該当しない人が、自己都合による一般の離職者という扱いになります。

この自己都合による離職者は、更に3つに分類されます。

  • 有期労働契約の更新を拒否された離職:特例理由離職者Ⅰ
  • 上記以外の「離職にあたり正当な理由(*)」があると認められる離職:特例理由離職者Ⅱ
  • 正当な理由のない自己都合による離職

(*)
身体・健康上の理由や結婚等による住所変更などが正当な理由に該当します。

令和4年3月31日までの期間限定で、特例理由離職者Ⅰに該当する人は、所定給付日数が特定受給資格者と同じになります。

正当な理由のない自己都合による離職は、待期期間(7日間)満了後、更に3ヶ月の間、失業手当は支給されません。その3か月分の受給期間の延長もありません。

定年退職者は?

ケースバイケースで判断されているようです。

雇用延長制度がない→特定理由離職者Ⅱ(?)

雇用延長制度はあるが、継続雇用を拒否された→特定受給資格者(?)

雇用延長制度はあるが活用しない→正当な理由のない自己都合(?)

必ずしもこのようになるわけではありません。個別にハローワークで判定します。

失業手当が支給される最大日数(所定給付日数)

所定給付日数(就職困難者)

就職困難者の所定給付日数

所定給付日数(一般の離職者)

一般の離職者の所定給付日数

所定給付日数(特定受給資格者)

特定受給資格者の所定給付日数

参考資料:特定受給資格者を定義した法令

事業の倒産等による離職に該当する特定受給資格者(雇用保険法施行規則第三十五条)

一  倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立て又は前条の事実をいう。)に伴い離職した者
二  事業所において、雇用対策法 (昭和四十一年法律第百三十二号)第二十七条第一項 の規定による離職に係る大量の雇用変動の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。以下この条において同じ。)の数を三で除して得た数を超える被保険者が離職したため離職した者
三  事業所の廃止(当該事業所の事業活動が停止し、再開する見込みがない場合を含み、事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことによるものを除く。)に伴い離職した者
四  事業所の移転により、通勤することが困難となつたため離職した者

解雇等による離職(雇用保険法施行規則第三十六条)

一  解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。)
二  労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したこと。
三  賃金(退職手当を除く。)の額を三で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかつた月が引き続き二箇月以上又は離職の日の属する月の前六月のうちいずれか三箇月以上となつたこと。
四  次のいずれかに予期し得ず該当することとなつたこと。
イ 離職の日の属する月以後六月のうちいずれかの月に支払われる賃金(最低賃金法 (昭和三十四年法律第百三十七号)第二条第三号 に規定する賃金(同法第四条第三項第一号 及び第二号 に掲げる賃金並びに歩合によつて支払われる賃金を除く。)をいう。以下この号において同じ。)の額が当該月の前六月のうちいずれかの月の賃金の額に百分の八十五を乗じて得た額を下回ると見込まれることとなつたこと。
ロ 離職の日の属する月の六月前から離職した日の属する月までのいずれかの月の賃金の額が当該月の前六月のうちいずれかの月の賃金の額に百分の八十五を乗じて得た額を下回つたこと。
五  次のいずれかに該当することとなつたこと。
イ 離職の日の属する月の前六月のうちいずれか連続した三箇月以上の期間において労働基準法第三十六条第一項 の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成十年労働省告示第百五十四号)(当該受給資格者が、育児・介護休業法第十七条第一項 の小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であつて同項 各号のいずれにも該当しないものである場合にあつては同項 、育児・介護休業法第十八条第一項 の要介護状態にある対象家族を介護する労働者であつて同項 において準用する育児・介護休業法第十七条第一項 各号のいずれにも該当しないものである場合にあつては同項 )に規定する時間を超える時間外労働が行われたこと。
ロ 離職の日の属する月の前六月のうちいずれかの月において一月当たり百時間を超える時間外労働が行われたこと。
ハ 離職の日の属する月の前六月のうちいずれか連続した二箇月以上の期間の時間外労働時間を平均し一月当たり八十時間を超える時間外労働が行われたこと。
ニ 事業主が危険又は健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険又は健康障害を防止するために必要な措置を講じなかつたこと。
六  事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行つていないこと。
七  期間の定めのある労働契約の更新により三年以上引き続き雇用されるに至つた場合において当該労働契約が更新されないこととなつたこと。
七の二  期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなつたこと。
八  事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたこと。
九  事業主から退職するよう勧奨を受けたこと。
十  事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き三箇月以上となつたこと。
十一  事業所の業務が法令に違反したこと。

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