国民年金保険料の法定免除
法定免除の特徴
- 該当すれば、法律上、当然に法定免除となる
- 申請が不要(届出は必要)
- 保険料の全額納付、申請免除扱いにすることも可能
国民年金の第1号被保険者が下記に示した「法定免除の対象」に該当すれば、法律上当然に法定免除となります。
法定免除以外の免除や猶予では申請も要件のひとつであり、その期限も定められています。それに対して法定免除は届出が必要となりますが、対象に該当すれば本人の意思に関わりなく法定免除の対象になるので、むしろ「法定免除の届出をしなければならない」と言うのが適切です。
但し、法定免除に該当していても年金額を増やすために申請免除を申請することができます。保険料の一部免除を受けて所定の保険料を納めると保険料免除期間となります。また、保険料を全額納めて、保険料納付済期間とすることもできます。
法定免除の対象
1.障害基礎年金の受給権者、但し障害等級に該当しなくなって3年経過している場合を除く
障害基礎年金は障害等級1級もしくは2級に該当しなくなっても短くとも65歳までは失権することはありません。従って、障害等級に該当していないのに長期に渡って法定免除になることを回避するために、このような措置が採られています。
障害等級1級もしくは2級に一度も該当したことがない3級の障害厚生年金受給権者は障害基礎年金の受給権者ではないので、法定免除の対象にはなりません。
障害基礎年金の支給対象となる障害等級に3級はありませんが、法定免除の判定においては3級に該当する間は法定免除が継続されます。
2.生活保護法による生活扶助その他援助を受けている人
3.国立ハンセン氏病療養所、国立保養所等に入所している人
届出
法定免除に該当した日から14日以内に届出る必要があります。
法定免除となる期間
免除理由に該当した月の前月から該当しなくなった月までが法定免除期間になります。
既に納付した保険料
法定免除に該当した時点で、法定免除期間に係る既に納付した保険料(前納をふくむ)がある場合は還付を受ける、もしくは受けないを選択できます。還付を受けなければ保険料納付済期間(もしくは保険料免除期間)となり、法定免除期間にはなりません。
補足:障害等級に該当したときの保険料還付
障害年金の遡及請求によって障害認定されたときには、障害認定日から長期間を経て認定されることもあります。年金の受給とは異なり保険料の還付には5年の時効が定められていないので、還付を希望するときは高額の保険料が還付されることもあります。
例えばもし障害認定日から15年経過後に遡及請求が認められたときには、年金給付の時効により障害年金の給付は5年分だけになりますが、15年のあいだ法定免除に該当していたことになるので、還付請求したときには15年間に納めた国民年金保険料が全て還付対象となります。
保険料を納付することもできる
平成26年4月に法律が改正されるまで、法定免除に該当する人が保険料を納めて年金額を増やしたいときには追納するしかありませんでした。そのために次のような問題が発生していました。
- 前納による保険料割引が適用できない
- 付加保険料を納めることができない
- 国民年金基金に加入できない
- 一部免除に該当しているときも申請できない
このようなことが起こらないよう法律が改正されて、法定免除に該当する人でも保険料の支払いを選択できることになりました。保険料を納付すると、その期間は保険料納付済期間として老齢基礎年金の額が計算されます。
また、申請免除のうち、保険料一部免除に該当している期間についても、申請免除に係る保険料を納付して将来の年金額を増やすことができます。
補足:申請免除を申請して未納となった場合は
申請免除期間の保険料が未納になっても法定免除に該当することに変わりありません。従って、もし保険料を払わなければ保険料徴収権が消滅、つまり納付期限(翌月末)から2年経過した時点で法定免除が適用されることになります。
支給額
保険料を全額納めたときの2分の1で老齢基礎年金の額が計算されます。