年金の審査請求と再審査請求による不服申立て
不服申立ての概要
被保険者の資格、保険給付、保険料の徴収等(国民年金)、標準報酬、の決定について不服があるときにはまず審査請求を行い社会保険審査官が審査を行い、その決定に不服であれば、再審査請求によって社会保険審査会が審査する二審制になっています。
これに対して、保険料の徴収等(厚生年金)や滞納処分(厚生年金)、脱退一時金に関して不服のあるときには社会保険審査官の審査を経ずに社会保険審査会で審査される一審制となっています。
社会保険審査官による審査
社会保険審査官に審査請求するときには、正当な理由がある場合を除き処分があったことを知った日の翌日から三月以内に文書または口頭で請求しなければなりません。(社審法14条1項)
但し、被保険者の資格、標準報酬に関しては、処分のあった日の翌日から2年以内に審査請求をしなければなりません。(社審法14条2項)
審査請求日から二月以内に決定がないときは社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなし、再審査請求を行うことができます。(国年法101条2項)(厚年法90条3項)
社会保険審査会による審査
社会保険審査官の審査に不服があり再審査請求するとき、及び一審制事項に関する不服は、社会保険審査会で審査されます。社会保険審査官による審査は審査官が一人で審査、処分決定をするの対して、審査会では国が選定した委員の合議によって決裁が下されます。その審理過程は原則として公開で、請求人や代理人も同席して意見陳述することができますが、裁判ではないので出欠は自由です。
ただし、審査の会場は東京の厚生労働省です。そのため、地方に居住している人は交通費や宿泊費を自分で負担しなければなりません。
審査の結果についてはその場で知らされることはなく、後日、決裁書が送付されてきます。その決裁事項に不服があるときは行政訴訟で争うことになります。
■再審査請求の時効
社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から二月以内に請求しなければなりません。(社審法32条1項)
■一審制事案の審査請求の時効
処分があったことを知った日の翌日から三月以内に文書または口頭で請求しなければなりません。(社審法32条2項)
取消訴訟
社会保険審査会への審査請求が棄却、却下、あるいは決定に不服があるときには裁判(行政訴訟)になりますが、この処分取り消しの訴えは、社会保険審査会の決済を経た後でなければなりません。
また、審査請求や再審査請求では、社会保険労務士が代理人を務めることが一般的ですが、行政訴訟では弁護士しか代理人になることができません。
この訴訟は正当な理由がある場合を除き、社会保険審査会の決裁があったことを知った日から六月以内に提起しなければなりません。(行政事件訴訟法14条1項)
但し、裁決の日から一年を経過したときは、正当な理由がある場合を除き提起することができません。(行政事件訴訟法14条2項)