年金受給者が死亡したときの未支給年金
年金を受取っている人が死亡すると、未支給年金は必ず発生する
年金の受給者が死亡したとき、その時点で支給停止になっていなければ例外なく未支給年金が発生します。つまり、年金受給者は年金を全額受け取ることができません。そのあたりを年金受取の決まりと合わせてお話します。
年金受取日
年金は原則として偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)に前月及び前々月の2ヶ月分がまとめて支給されます。
例えば2019年の8月には、同年の6月分と7月分が支給されることになります。
年金を受給できる期間
年金は受給権が発生した月の翌月から消滅した月まで支給されます。例えば老齢年金は、原則65歳の誕生日(正確には誕生日の前日)が属する月の翌月から死亡した日の属する月までが支給される期間です。死亡した日の属する月も年金が支給される点がポイントになります
そのため、もし奇数月である5月に死亡したときには、5月分の年金の受給権は発生しているので4月分と5月分の年金が6月に支給されます。もちろん受給権者は死亡しているので年金を受給することができません。
死亡したのが偶数月である6月であれば、同様の考え方で6月分の年金が(もちろん7月分の支給はありません)8月に支給されますが、この場合ももちろん、8月には既に年金受給者は死亡しています。
まだ請求していない年金は?
年金の受給権が発生していたにも関わらず、死亡した受給権者が請求をしていなかった年金についても未支給年金として支給されます。(但し、5年を経過した分については時効により受け取ることができません)
そのほとんどの場合は、死亡した受給権者の単なる請求忘れだと考えられますが、以下に示すケースでも未支給年金が発生します。
繰下げ期間中に死亡した場合
65歳になると老齢年金の受給権が発生しますが、支給開始を繰下げていて請求をする前に死亡したときには、65歳の翌月から死亡月までの繰下げによる増額のない老齢年金の未支給年金が発生します。
(補足)繰下げ直後に死亡したときは?
繰下げの請求をしてしまった後では、65歳に遡っての未支給年金は受取れません。そのため、繰下げの請求から死亡までの期間の長さによっては、未支給年金が大幅に減ってしまうことがあります。
支給開始繰下げの詳細ページ
死亡後に障害年金を請求する場合
死亡した人が障害年金の支給要件を満たしていたならば、死亡後でも請求ができます。その場合も受取る障害年金は未支給年金となります。
死亡後の障害年金請求の詳細ページ
未支給年金を受け取ることができる人
死亡した受給件者と生計が同一の、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、もしくはその他の3親等内の親族が未支給年金を受け取ることができます。ここに該当すれば誰でもよい訳ではなく、この並び順が優先順位となっているので、例えば夫が死亡したときには妻が優先的に受け取ることができます。
ここでは「生計同一」が支給の要件となっています。そのため子が既に経済的に独立して、死亡した受給権者が一人暮らしであるような場合は、誰も受け取ることができないことがあります。
同順位者が複数いる場合は
子や父母等の場合は、同順位者が2人以上いることがあります。そのような場合は、そのうちの誰かに支給したときは同順位者全員に支給されたものとみなされます。そのため、代表者を一人決めて請求をすることになります。
相続と税金
未支給年金は相続財産ではないので相続税はかかりません。但し、受け取った人の一時所得となるのでその額や他の所得額に応じて確定申告が必要となることがあります。