遺族年金の受給要件:保険料納付要件
遺族年金は死亡日要件と保険料納付要件を満たした人が死亡したときに、一定の要件を満たした遺族に対して支給されます。
このうち、ここでは保険料納付要件について解説します。
なお、遺族基礎年金と遺族厚生年金の保険料納付要件は共通です。
保険料納付要件が問われない場合
- 受給資格期間が25年以上の人が死亡したときは遺族基礎年金の保険料納付要件は問われません(*1)。
- 障害厚生年金(1級、2級)受給権者と長期要件による遺族厚生年金の死亡日要件を満たした人が死亡したときは遺族厚生年金の保険料納付要件は問われません
*1)
平成29年度の法改正が行われる前までは、「老齢年金の受給資格」を満たしていればよい、とされていました。しかし改正によって老齢年金の受給資格期間が10年に短縮されたのに対して、遺族年金については改正後も引き続き25年以上の受給資格期間が必要とされています。
遺族年金の保険料納付要件
死亡日の前日に、前々月までの国民年金の被保険者期間(以下、保険料納付要件判定期間)のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて3分の2以上(つまり、未納期間が3分の1未満)でなければなりません。
ポイント1
遺族基礎年金はもちろん、遺族厚生年金も国民年金の期間で判定します。
ポイント2
老齢年金と異なり、遺族年金の場合は厚生年金加入期間のうち、20歳未満と60歳以上の国民年金の被保険者期間も保険料納付済期間となります。
事例
国民年金被保険者期間のうち、全期間が1号被保険者の場合
上記の保険料納付要件判定期間のうち、未納期間が3分の1未満でなければなりません。
国民年金被保険者期間のうち、全期間が厚生年金の場合
国民年金被保険者期間の厚生年金加入期間は国民年金2号被保険者になるので、保険料納付要件を満たすことになります。
厚生年金と国民年金1号の場合
保険料納付要件判定期間のうち厚生年金加入期間は保険料納付済期間となります。残りの1号の期間をプラスして、全体で未納期間が3分の1未満であれば保険料納付要件を満たすことになります。
3分の2要件を満たさなくても保険料納付要件を満たす特例
死亡日が令和8年4月1日前にある場合、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間に国民年金の保険料未納期間がなければ障害年金を受給することができます。
但しこの特例は死亡日が65歳以降の場合には適用されません。
死亡日において被保険者でないときは、死亡日前で直近被保険者期間の1年間で判定します。
被保険者期間が1年未満で要件を満たす事例
60歳以降で国民年金の被保険者となるのは厚生年金の被保険者であるときと任意加入したときに限られます。それ以外の場合は国民年金の被保険者ではありません。従って、上図のように60歳以降で厚生年金に加入(国民年金2号)すれば保険料を払った期間が1年未満でも、直近1年間に未納期間がないので、保険料納付要件を満たすことになります。