職権改定による障害年金額の改定
有期認定と永久認定
障害の程度は時間の経過とともに変化することもあります。そのため、障害状態を確認するまでの期間を定め、その期間が経過したら改めて障害状態の確認(診査と言います)をするしくみになっています。具体的には1年から5年の間毎で障害状態の診査が行われます。
例えば精神障害の場合は1~2年くらい、肢体の障害ではそれよりも長めの期間になることが多いようですが、同じ障害者の同じ障害でも次の診査までの期間は変わることがあります。つまり、1回目の診査までの期間が仮に3年だとしても、次の診査が3年後であるとは限りません。
この一連の流れを障害年金の有期認定といいます。そして、そのときの診査の結果、障害等級に変動があれば、職権改定による障害年金の改定が実施されます。
一方で肢体を失うなど、回復の見込みがない障害では永久認定となり、有期認定及び職権改定の対象になりません。
障害状態確認届による障害状態の調査
このように、有期認定の場合は障害状態についての診査が一定期間毎に行われます。
日本年金機構から障害状態確認届が障害者本人宛に送付されるので、医師が必要事項を記入の上、誕生日月(初診日が初診日が20歳前障害による障害基礎年金の場合は7月)の末日までにレントゲン写真など必要な資料を添付して提出しなければなりません。
誕生日月にはこの障害状態確認届以外にも現況や加算対象となる被扶養者等の届けが必要となる場合がありますが、これらの提出が遅れると障害年金が差し止めになることもあるので注意が必要となります。
永久認定の場合は障害状態確認届を提出する必要はありません。
年金額の改定
診査の結果、障害等級に変動があった場合には支給額変更通知書が送付され、年金額は変更されます。
障害等級が上がったとき
改定後の増額となった年金が、障害状態確認届の提出期限月の翌月から支給されます。
障害等級が下がったとき
減額改定になった場合は、障害状態確認届の提出期限となっていた月から4ヶ月後の月から年金が減額もしくは支給停止となります。
障害等級に変更がないとき
次回の障害状態確認届の提出についての連絡があり、同じ等級の年金が引き続き支給されます。
職権改定が行われないケース
障害基礎年金の受給権がない、つまり以前に一度も1級もしくは2級に該当したことがない3級障害厚生年金の場合、65歳以降もしくは老齢基礎年金の繰上支給開始後は職権改定による年金額の変更はおこなわれません。(52条7項)
つまり障害が悪化して1級もしくは2級にするような状態に至っても障害等級は3級のままとなります。
障害年金の改定請求
障害の状態が以前より重くなって年金の増額を希望するときは、次回の有期認定による診査を待たずに障害年金の改定請求を行うことができます。逆に障害の程度が軽くなったときには、あえて受給者からそのことを申告する必要はなく、次回の診査まで、その等級の年金を受給しても問題ありません。
永久認定には職権改定がないので障害状態が悪化しても、そのままでは年金額の改定がされません。従って改定の請求を行う必要があります。