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年金制度の矛盾点(備忘録)

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第2号被保険者がその資格を取得した月に喪失、つまり入社日と退職日が同じ月で、退職後は第1号被保険者もしくは第3号被保険者に該当する場合、徴収された厚生年金の保険料は還付されることになりました。(平成27年10月から)

そのため、ここで指摘されているような問題点は解消されましたが、このページは備忘録として残しておきます。

年金制度は2階建て、しかも複雑な経過措置が多数設けられています。そのため法令もどんどん複雑なものになってきます。新たな制度が設けられるとこれまでの制度との矛盾がない様、整合性を担保しなければなりません。ここまで複雑になったのに矛盾のない法体系を維持している厚生官僚(?)は本当にすごいと常日頃関心しているのですが、やはり矛盾点というか、明らかにおかしいのでは?、と思ってしまう点もあります。

入社と退職が同じ月のケース

毎年、4月になると新卒の新入社員が入社してきます。私もかなり以前ですがその1人でしたが、新入社員研修が始まって数日後、4月中に会社を辞めていく同期入社の社員(大卒)がいました。

では、彼女(女性でした)の年金はどうなるのでしょうか。

厚生年金法第十九条
2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。但し、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。

要約すると、「入社日と退職日が同じ月のときはその月は被保険者とする」となります。このケースでは4月は厚生年金の被保険者であるということです。後段の但し書きは、同じ月にまた再就職しても2ヶ月とカウントしないことを意味しています。

では、国民年金法ではどのような扱いになるのでしょうか?

第十一条の2
(前略)被保険者の種別(第1号被保険者、第2号被保険者又は第3号被保険者のいずれであるかの区別をいう。以下同じ。)に変更があつた月は、変更後の種別の被保険者であつた月とみなす。

保険料が払い損になる?

国民年金保険料の2重払い

つまり彼女の場合、20歳以上であったため退職日の翌日に2号から1号への種別変更となり、4月は第1号被保険者となります。

従って、4月分の国民年金保険料を自分で支払わなければなりません。
ところが4月は第1号被保険者でありながら厚生年金の被保険者でもあり、厚生年金の保険料も負担する必要があります。

ご存知のように厚生年金の保険料は国民年金の保険料も込みとなっていますが、更に2重で国民年金の保険料を負担しなければならないことになってしまいます。

一方で老齢基礎年金は保険料納付済期間で年金額が決まります。つまり、ひと月としかカウントされないので自分で支払った国民年金の保険料は全く年金額に反映されないことになります。

特殊な事例ではない

新卒社員に限らず入社してすぐに、入社月と同じ月に退職することは決して珍しいことではありません。おそらく日本中でこの様な不都合が起こっているはずです。仕事がなくなった上に保険料を2重で負担しなければならないのでますます経済的に厳しくなります。一日も早く改善すべきではないでしょうか。

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