雇用保険の失業手当(基本手当):令和1年8月から2年7月まで
失業したときにハローワークで受ける給付のことは一般的に失業手当と言われています。
正しくは求職者給付のひとつである基本手当ですが、基本手当はなじみが薄いのでここでは失業手当という呼び方に統一します。
失業手当とは
受給資格がある人が受給期間内で失業の認定を受けたときに定められた日数分、所定の額の失業手当を受給することができます。従って、ポイントとなるのは以下の5点です。
- 1.受給資格
- 2.失業の認定
- 3.失業手当の日額
- 4・給付日数
- 5.受給期間
受給資格
算定対象期間(原則離職日以前の2年)のうち、雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上(原則)あることが必要です。
但し、特定受給資格者(解雇や倒産等によって離職した人)の算定対象期間は1年とされ、そのうち6ヶ月が被保険者期間であればよいことになっています。
失業の認定
失業とは
失業手当は当然ですが、失業しているときに支給される給付です。では、「失業」とは何を指すのでしょうか。
失業とは「労働の意思と能力があるのに就業できない状態にある」ことです。つまり、例えば退職したからしばらくはゆっくりしよう、と考えている人や、病気で思うように働けないような人は例え就労していないくても失業状態にあるとは言えないので不正受給となる可能性があります。
失業の認定法
4週間に1度づつ、直前の28日間についてハローワークで失業の認定を受けます。この28日間のうちで失業していると認定された各日に失業手当が支給されることになります。
失業の認定は雇用保険法15条で以下のように定められています。
失業の認定は、厚生労働省令で定めるところにより、受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所その他の職業安定機関若しくは職業紹介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行つたことを確認して行うものとする。
失業手当の日額
失業手当の日額は賃金日額(算定対象期間のうち最後の6ヶ月の賃金総額÷180)に給付率(年齢と賃金日額に応じて45%~80%)を乗じた額になります。
但し、賃金日額には上限と下限が設定されています。また、労働による収入がある場合は減額支給となります。
所定給付日数
失業手当は雇用保険の被保険者であった期間(算定基礎期間)に応じて定められた日数分を受給することができますが、この所定給付日数は受給資格の種類(特定受給資格者、就職困難者、一般の離職者)によって異なります。
特定受給資格者とは
倒産、事業の縮小や廃止、事業所の移転によって失業した人を指します。また、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)による場合も該当します。
よく、会社都合だと自己都合よりも失業手当がたくさんもらえると言われていますが、つまり「特定受給資格者だと所定給付日数が多い」ということになります。
失業手当の受給資格者の種類については下記のリンクを参照してください
所定給付日数(就職困難者)
所定給付日数(一般の離職者)
所定給付日数(特定受給資格者)
就職困難者とは障害、社会的事情等により就業が著しく阻害されている人を指します。
特定受給資格者と就職困難者のどちらにも当てはまる人は就職困難者となります。
失業手当の受給期間
失業手当は定められた期間内に受給しなければなりません。この期間を過ぎれば受給した日数が所定給付日数に達していなくても手当の支給は打ち切りとなってしまいます。
この期間は原則で離職日の翌日から1年ですが、所定給付日数が360日である受給資格者は60日、330日である受給資格者は30日がそれぞれ加算されます。
また、いわゆる正当な理由のない自己都合によって離職したときには、3ヶ月の給付制限があります。この場合でも所定給付日数が300日もしくは360日である就職困難者に該当する人以外は受給期間に延長はありません、
老齢厚生年金との調整
求職の申込み(失業手当の受給申請)を行った月の翌月から受給できる期間の満了(原則、離職の日から1年間)もしくは支給が終わった月まで間、60歳代前半の老齢厚生年金は支給停止となります。
事後精算
上記の老齢厚生年金の支給が停止となった月数が失業手当を受けた日数を30で割った数(1未満は切り上げ)が支給停止となった月数に満たないときは、その差の月数の老齢厚生年金が事後精算として支給されます。
事後精算の事例
- 失業手当が支給された日数:100日
- 老齢厚生年金支給停止月数:5か月
この事例では、100日を30で割った値が4(1未満切り上げ)となるので、5マイナス4、つまり1月分の老齢厚生年金が事後精算で支給されます。