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条文から読み解く法定免除されたときの国民年金保険料

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既に支払った保険料は還付されるのか

改正前の条文

第1号被保険者の保険料法定免除について条文では以下のように定められています。

国民年金法第八十九条
被保険者(第九十条の二第一項から第三項までの規定の適用を受ける被保険者を除く。)が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、既に納付されたもの及び第九十三条第一項の規定により前納されたものを除き、納付することを要しない。

以上が法定免除に関する条文の抜粋ですが、これによると既に納付されたものと前納されたものを除き納付しなくてもよい、法定免除に該当しても既に支払った保険料と前納した保険料(前納も既に支払った保険料であることに変わりないのに区別しているということは前段では、前納以外で納めた保険料を指していると思われます。)は還付されないというわけです。

前納分が還付されることに

しかし、法改正によって後段の「前納した保険料」に関する部分は削除され、前納によって納付された保険料は還付されることになりました。

既に納付された保険料は?

では、「既に納付されたもの」はどうでしょうか?

こちらの文言は削除されていないので、納付する義務は残るはずです。しかし実際には法定免除と認められた時点から過去に遡る法定免除期間があれば、その期間に係る既に納付された保険料は還付の対象となります。(障害年金の遡及請求の場合、等)

この条文によれば既に納付されたものは、法定免除期間でも前納されたもの以外は納付の義務は免れません。どのような根拠でこのような還付が行われているのよくわかりません。私の知らない附則や政令があるのかしれませんが、本則と間逆の附則や政令があるのも不自然ですし、前納分に関しては削除しているのに、「既に納付されたもの」をあえて残しているのは、それなりの理由があるはずです。

(追記)
政府はこの点につき、受給権取得日以後に納付した保険料を還付の対象としているようです。詳しくは下記のリンクを参照してください。

申請免除は可能か?

では、法定免除に該当した人が申請免除のうち保険料一部免除にも該当した場合は保険料一部免除の申請ができるのでしょうか?

上記の条文では申請免除を適用を受ける人(第九十条の二第一項から第三項までの規定の適用を受ける被保険者)は法定免除から除外されています。一方で申請免除の要件として「法定免除に該当しないこと」といった規定はありません。つまり、法定免除に該当しても申請免除を申請することができるという結論になります。(もちろん、法定免除に該当した人が全て申請免除を申請できるわけではありません。申請免除の要件を満たす必要があります。)

申請免除が承認されれば法定免除には該当しなくなります。「該当しなくなった月」まで法定免除の適用を受けるので、免除申請が行われた月までが法定免除となり、その翌月から申請免除が適用された被保険者となります。

では、未納期間はどうなるのか?

通常の申請免除では申請プラス保険料納付をして(全額免除以外)、はじめて保険料免除期間となるので、保険料を納めない期間は未納期間になります。そこで、法定免除に該当する人が申請免除をして保険料を納めなければ未納期間になってしまうのか、という問題が発生します。

条文では「申請免除の適用を受けるもの除いて」法定免除が適用されるとなっています。未納となった期間は申請免除の適用を受けていない(保険料未納)ので、原則に戻って法定免除が適用されるものと思われます。

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