年金は「払う」ものではなく、「受け取る」もの
「年金をたくさん払っているから、年金をたくさんもらっている」、、?
昨日、テレビ番組で多額の年金を受け取っている人が紹介されていました。なぜ年金を多くもらえるのか?、理由は年金を多く払っているからだそうです。その説明の際、でかでかと大きなテロップで「年金を多くもらっている人は年金を多く払っているから」との表示がありました。
このテロップをみて、何だかおかしな日本語だと違和感を覚えた方は少なくないはずです。通常、払うと言ったら預けるわけでないので、受け取るものは異なるはずです。払うものと受け取るもの同じなのはやはりヘンです。
払ったものと同じものが返ってくるならば、「もらう」ではなく、「払い戻し」のはずです。
誰も年金を払っていない
このテレビ番組に限らず年金の将来についてよく語られる昨今、「将来どうなるか分からないから、年金を払ってもしょうがない」とか、「年金を払っていない若い人が増えている」といった表現がネットなどで飛び交っています。でも、若い人に限らず、年金を払っている人は誰もいません。
なぜならば、年金は受け取るものだからです。あるいは年金制度を略して「年金」と言ったりすることもありますが、いずれにせよ払うものではありません。払うのは年金ではなく「保険料」なのです。
さすがに新聞やちゃんとした書籍や雑誌、報道番組などではこのような誤った言葉の使い方はしませんが、ネットなどではよく見かけます。まさかバラエティとはいえゴールデンタイムの全国ネット番組で「年金を払っている」という表現を堂々と使っているのには、「ついにここまで来たのか」という思いです。
将来は正しい表現に変わるかも
言葉の意味や用法は時代とともに移り変わるのが常なので、絶対的に正しい言葉づかいというものは存在しません。今は誤りでもそれが一般的に使われるようになれば、それが正しいと言葉使いとして定着することはよくあることです。年金を払うと言う表現も、もしかしたら誤りと分かっていてもよく使われている(つまり認知されている)からということで、あえて使っている人もいるかもしれません。
もし、大手メディア等で一般的に「年金を払う」という表現が使われるようになったときは、こっそりと、このページを削除することになるでしょう。
でも、払うものと受けとるものが同じというのはやっぱりヘンですが。