遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)の受給要件:死亡日要件
遺族年金は死亡日要件と保険料納付要件を満たした人が死亡したときに、一定の要件を満たした遺族に対して支給されます。
このうち、ここでは死亡日要件について解説します。
遺族基礎年金の死亡日要件
次のいずれかに該当すれば遺族基礎年金の死亡日要件を満たすことができます。
- 国民年金の被保険者が死亡
- 以前に国民年金の被保険者であって日本国内に居住、かつ60歳以上65歳未満の人が死亡
- 老齢基礎年金の受給権者が死亡(*)
- 老齢基礎年金の受給資格期間(*)が25年以上の人が死亡
(*)
法改正により平成29年9月から老齢基礎年金の受給資格期間は25年から10年に短縮されましたが、遺族基礎年金を受給するためには死亡した被保険者の受給資格期間については改正が適用されず、25年以上のままとなります。
老齢基礎年金の受給権者が死亡したときにおいては、老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上であった場合に限られます。
遺族厚生年金の死亡日要件
遺族厚生年金を受給するための死亡日の要件は短期要件と長期要件の2つがあり、どちらかを満たす必要があります。
短期要件
次のいずれかに該当すれば短期要件を満たすことになります。
- 厚生年金の被保険者が死亡
- 初診日が厚生年金の被保険者期間の傷病が原因で、初診日から5年以内に死亡
- 障害厚生年金(1級、2級)受給権者が死亡
長期要件
- 老齢厚生年金の受給権がある(*2)、もしくは受給資格期間(*2)を満たした人が死亡
(*2)
上記の遺族基礎年金の場合と同様に、受給資格期間が25年以上であることが必要です。
300月みなしの有無が違いのポイント
死亡日要件が短期要件か長期要件かで、年金の受給額が大きく変わることがあります。遺族厚生年金は厚生年金の被保険者期間に支払った保険料額によって額が決まりますが、短期要件に該当すれば300月みなしが適用され、被保険者期間が300月に満たないときでも300月分の保険料を支払ったとみなして年金額が算定されます。
それに対して長期要件の場合は300月みなしの適用がないので極端な例だと、ひと月分の保険料で算定された遺族厚生年金しか受給できないこともありえます。