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年金財政の変遷と現状

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日本は賦課方式、、?

日本の年金は賦課方式であると一般に言われています。私もこのサイトでは賦課方式として話を進めてきました。

でも、正確には完全な賦課方式であるとは言えません。そもそも、賦課方式なのに莫大な積立金がなぜあるのでしょうか。

そのあたりを読み解くにあたり、年金の歴史について簡単に触れておきます。

これまでの経緯

当初は積立方式

当初の年金制度は完全積立方式を維持していました。ところが昭和40年代になると年金額が相次いで大幅増となりましたが、年金額に見合う高額の保険料の徴収が見送られ、将来の経済成長(保険料収入増)を見込んで当初の保険料を抑え段階的に引き上げることによって不足分を補う方式が採られました。このあたりから賦課方式の色彩(後の世代の方が負担が大きくなる)がでてきたといえます。

積立をしながら賦課方式へ

そしてここからが問題です。その頃から積立金の運用見通しが甘く年金財政が厳しくなり徐々に保険料を年金給付に充てる賦課方式への傾斜が強くなります。

しかし、まだ当初は一部を積立金に回す余裕があり積立金は増加します。ところが少子化が予想以上に進んだことに加え平均寿命の伸びも想定以上、しかも積立金の運用実績は低迷して年金財政はますます悪化、いよいよ積立金を取り崩す必要が出てきました。

100年安心?プラン

積立金に手を付ける以上、いつかは必ず無くなります。これまでの甘い見通しが指弾されて年金に対する不信感が増大したため、「100年安心プラン」といわれる計画が打ち出されたのです。

この内容について詳しくは省略しますが、簡単に言えば賦課方式つまり現役世代から徴収する保険料収入と積立金の取り崩しで100年間は年金制度が維持できるというものです。常に100年先までの間での財政の均衡(収支バランス)を保ち続け、永続的に年金制度を維持しようというものです。

(ほぼ全員が100歳になるまでに死亡するので、誰もが(0歳児も!)自分が生存中は間違いなく年金制度が維持されすよ、という安心感を与えるための制度と言えます。)

これに対しても計画の前提となる積立金運用成績、賃金上昇率、出生率の見通しの甘さが指摘され国民の年金不信はピークに達します。この世論を追い風に制度の脆弱性を攻撃し、抜本改革を目玉政策として選挙戦を有利に進めたのが当時の民主党でした。

消えた年金改革

ところが民主党が政権運営に失敗して政権が弱体化するとそれどころではなくなったのか、選挙前にあれほど強く主張していた年金の抜本改革はどこかへ消えてしまいました。そもそも大きな痛みが伴うこれほど大改革は、よほど政権に強力な求心力がなければできません。

そして次の自民党が圧勝した選挙では年金問題はほとんど争点として取り上げられることもなく、今では聞こえてくるのは未納問題と強制徴収の強化といったことばかりとなってしまいました。

現在の方式

以上、現在の日本は賦課方式を基本としながらもかつての積立金を活用した積立方式も一部残っている制度で、これに基礎年金の国庫負担(税金)を加えて成り立っていると言えます。

では、今の年金制度に問題点はないのでしょうか。そのあたりを次回、検証してみたいと思います。

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