65歳からの遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給調整
年金は1人1年金が原則ですが、いくつかの例外があり、65歳以上の老齢年金と遺族厚生年金の併給が認められています。
ここで解説しているは65歳以降の特例で、60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者や65歳前に老齢年金を繰上請求しているときには、65歳までは老齢年金と遺族厚生年金の選択となり、外れた方は支給停止となります。
年金の併給については下記のページで解説しています。
老齢厚生年金の受給権がない場合
遺族厚生年金を全額受給できます。
老齢厚生年金の受給権がある場合
以下の3つを比較して、最も多い額の年金が支給されます。
但し、3番目のパターンが選択できるのは、配偶者が死亡したときに支給される遺族厚生年金のみです。
- 1.老齢厚生年金の額
- 2.遺族厚生年金の額
- 3.老齢厚生年金の2分の1+遺族厚生年金の3分の2 *1
1.老齢厚生年金の額が最も多い場合
老齢厚生年金が全額支給されて、遺族厚生年金は全額支給停止になります。
2.遺族厚生年金の額が最も多い場合
老齢厚生年金が全額支給されて、遺族厚生年金は老齢厚生年金額に相当する部分(*1の部分)が支給停止になります。
3.老齢厚生年金の2分の1+遺族厚生年金の3分の2の額が最も多い場合
老齢厚生年金が全額支給、「老齢厚生年金の2分の1+遺族厚生年金の3分の2の額」に不足する分が遺族厚生年金から支給されて、残りの遺族厚生年金(*2の部分)は支給停止となります。
支給例
老齢厚生年金:60万、遺族厚生年金:30万円
老齢厚生年金の2分の1と遺族厚生年金の3分の2の合計:50万円、
従って、最も多いのが老齢厚生年金の額となり、老齢厚生年金から60万円が支給されて、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
老齢厚生年金:30万、遺族厚生年金:60万円
老齢厚生年金の2分の1と遺族厚生年金の3分の2の合計:55万円
従って、最も多い遺族厚生年金の額が支給額となります。老齢厚生年金は全額の30万円が支給され、総額との差額である30万円が遺族厚生年金から支給されます。
老齢厚生年金:50万、遺族厚生年金:60万円
老齢厚生年金の2の1と遺族厚生年金の3分の2の合計:65万円、
従って最も多い、この65万円が支給額となります。老齢厚生年金は全額の50万円が支給され、総額との差額である15万円が遺族厚生年金から支給されます。