厚生年金の長期加入者特例で定額部分を受給する(令和4年度)
60歳台前半の老齢厚生年金は原則、報酬比例部分だけになりますが、例外的に、
- 厚生年金の被保険者期間が44年(528月)以上ある(長期加入者特例)
- 障害等級1~3級の障害状態にある(障害者特例)
どちらかに該当すれば、報酬比例部分と合わせて定額部分も受給できることがあります。
更に、支給対象になる配偶者や子がいるときには定額部分に加えて加給年金の加算もあります。
ここでは厚生年金の被保険者期間が44年以上の長期加入特例について解説します。
定額部分と加給年金、報酬比例部分については下記のページで解説しています
障害者特例ついては下記のページで解説しています
受給の要件
- 60歳台前半の老齢厚生年金の支給開始年齢に達していること
- 44年の厚生年金被保険者期間があること
- 厚生年金の被保険者でない(退職している)こと
- 老齢年金を繰上受給していないこと
厚生年金の被保険者期間のみで44年(528月)を満たす必要があります。
国民年金の第1号被保険者や第3号被保険者の期間をふくめることはできません。
60歳以降も会社勤めを継続し、厚生年金の被保険者となっている期間は長期加入者の特例は適用されず、報酬比例部分だけの支給になります。
また老齢年金を繰上受給してしまうと、後に要件を満たしてもこの特例は受けられないので、この点は特に注意が必要です。
下記のページで繰上について解説しています
支給される年金と期間
60歳から報酬比例部分を受給できる人が62歳まで勤めた場合
この事例では18歳から62歳までの44年間、厚生年金の被保険者なので、65歳まで報酬比例部分に加えて定額部分/a>が(条件を満たせば加給年金も)支給されます。
60歳、61歳の2年間は在職老齢年金によって減額された60歳台前半の老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給されます。
63歳まで勤めた場合
62歳になった時点で44年を満たすことになりますが、在職中は厚生年金の被保険者なので定額部分の支給はありません。
退職後、新たに厚生年金の被保険者になることなく1ヶ月が経過した後から65歳になるまで定額部分が(条件を満たせば加給年金も)支給されます。
支給額(令和4年度)
定額部分の支給額
老齢基礎年金の満額とほぼ同額が65歳になるまで支給されます。
令和4年度は、
1621円(定額単価) × 480月 = 約78万円が定額部分の支給額になります。
加給年金の支給額
該当する配偶者がいるとき
- 加給年金額:223,800円
- 特別加算額:165,100円(昭和18年4月2日以降生まれの場合)
2つの合計額が支給されます。
該当する子がいるとき
- 1人目、2人目:(1人に付き)223,800円
- 3人目以降:(1人に付き)74,600円