老齢厚生年金の加給年金(令和4年度)
ここでは老齢厚生年金に加算される加給年金と振替加算について説明しています。障害年金に加算される加給年金については、下記のリンクを参照してください。
加給年金の受給要件
65歳になって厚生年金と旧共済年金の被保険者期間を合わせて240月(20年)以上の老齢厚生年金を受給できるようになったとき(*1)、下記の要件を満たしていれば加給年金が加算されます。
- 65歳未満の配偶者、もしくは18歳の年度末までの子(*3)がいる
- その配偶者もしくは子が、自身(被保険者)によって生計維持されている
(*1)
受給権を取得したときに厚生年金の被保険者期間が満たない場合でも、それ以降に240月以上の要件を満たすことがあります。
その場合には退職時改定(*2)、もしくは70歳到達時が要件判定及び支給開始のタイミングになります。
(*2)
65歳になって老齢厚生年金の受給者になった人が継続して厚生年金の被保険者であるときには、受給権取得後の被保険者期間は退職後に被保険者になることなく1ヶ月以上経過したときから年金額の改定が行われます。このことを退職時改定といいます。
(*3)
子が障害等級1級もしくは2級に該当していれば子が20歳になるまで支給対象になります。
加給年金支給開始時期については下記ページで詳しく説明しています。
(60歳台前半の老齢厚生年金の場合)
60歳台前半(特別支給)の老齢厚生年金については、厚生年金の長期加入者特例により定額部分が支給されていなければ加給年金の加算はありません。
60歳台前半の老齢厚生年金と長期加入者特例の解説ページ
(在職老齢年金との関わり)
65歳以降の在職老齢年金によって老齢厚生年金の報酬比例部分が減額されるときでも、加給年金は全額が支給されます。但し、報酬比例部分の全部が支給停止になったときには加給年金も全額が支給停止となります。
支給停止
配偶者が支給要件となっている加給年金の支給停止
配偶者が被保険者期間240月(20年)以上の老齢厚生年金を受給できるときは支給停止になります。
逆に言えば、配偶者が240月以上の被保険者期間の場合でも、支給開始年齢になっていなかったり、在職老齢年金で全額が支給停止になっているような場合は受給できることになります。
(共済年金との一元化の影響)
平成27年10月に厚生年金と共済年金が一元化されます。一元化前は配偶者の厚生年金と共済年金を合わせて20年以上でも、厚生年金単独で20年未満であれば加給年金が支給されていました。しかし、一元化を機に合わせて20年以上のときは支給停止となります。
この措置は既に加給年金を受給している人には適用されず、一元化後に受給権を取得した人が対象となります。
子が支給要件となっている加給年金の支給停止
障害基礎年金にも同様の子の加算があります。そのため障害基礎年金と併給しているときは障害基礎年金の加算が優先されてこちらは支給停止となります。
要件を満たした配偶者と子がいる場合
どちらかが支給停止になることはなく、両方の加給年金を同時に受給することができます。
要件を満たした配偶者がいるときの加給年金
支給額(令和4年度)
- 加給年金額:223,800円
- 特別加算額:165,100円(昭和18年4月2日以降生まれの場合)
(配偶者でなく)自身の生年月日が昭和9年4月2日以後のときは、(配偶者でなく)自身の老齢厚生年金に特別加算がプラスされます。
昭和18年4月1日以前に生まれた人は生年月日に応じて上記の額から特別加算金は減額され、昭和9年4月1日以前生まれの人には支給されません。
対象となる配偶者
ここで言う配偶者とは、夫か妻かを問いません。つまり、妻が要件を満たして夫に支給されるのはもちろん、逆に夫が配偶者の要件を満たして妻に支給されることもあります。
受給できる期間
支給の要件となっている配偶者が65歳になるまで受給できます。従って配偶者が年上だと多くの場合、配偶者加給年金と特別加算は支給されません。
(例)
サラリーマンである夫が65歳で受給権を取得したときに、専業主婦である妻が年上だと妻は既に65歳以上なので、配偶者加給年金と特別加算は支給されません。
要件を満たした子がいるときの加給年金
支給額(令和4年度)
- 1人目、2人目:(1人に付き)223,800円
- 3人目以降:(1人に付き)74,600円
受給できる期間
子が18歳の年度末までの間、支給の対象となります。但し、子が障害等級の1級もしくは2級に該当する場合は20歳までとなります。
振替加算
支給の要件となっている配偶者が65歳になると、加給年金は終了しますが、代わって、要件となっていた配偶者の老齢基礎年金に振替加算として引き継がれて加算されます。