480月以上の保険料を納めた人は、国民年金に任意加入できないのか?
■この記事は2020年2月26日にリリースしました。
日本年金機構のホームページには、任意加入の要件がこのように示されています。(2020年2月26日現在)
次の1.~4.のすべての条件を満たす方が任意加入をすることができます。
- 1.日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
- 2.老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
- 3.20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
- 4.厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
- 年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の方も加入できます。
- 外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方も加入できます
- 1.の60歳以上65歳未満の方は、60歳の誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができます。
このうち、気になるのは「3.20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方」の部分です。
(「納付月数」という正式な年金用語はありませんが、おそらく保険料納付済期間と免除による減額割合を考慮した保険料免除期間の合計のことと思われます。)
任意加入の目的
この年金機構のページでは、2つの任意加入目的が示されています。
- 受給資格を満たすため
- 年金を増額するため
確かにその通りだし、であるならば、480月以上の人の任意加入は無意味で、保険料の払い損になります。でも1点だけ気になることがあります。それは、
480月を超えて任意加入することができない、という根拠となる法令が見当たらない、ということです。
私が知らないだけかもしれませんが、以下、根拠となる法令がないことを前提にお話しします。もしあったなら、申し訳ありません(笑)。
480月を超えて任意加入するメリットは?
60歳以降、480月を超えて任意加入するメリットが全くないのであれば、年金機構が気を利かせて(?)、独自判断で任意加入させない措置を取っているのかもしれません。
そこで、その点を検証をしてみます。
老齢年金
480月を超えて任意加入しても老齢基礎年金の額は増えません。もちろん、すでに受給資格があるので、480月を超えて任意加入するメリットは全くありません。
遺族基礎年金
480月あれば、「老齢基礎年金の受給資格がある60歳以上65歳未満の人が死亡」に該当するので、遺族に受給権が発生します。
よって、60歳以降に任意加入して国民年金の被保険者となるメリットはありません。
障害基礎年金
60歳以上65歳未満の元被保険者については、「初診日において日本国内に住所を有する」ことが要件となっています。
つまり、「海外居住者は国民年金の被保険者でなければならない」ことになるので、ここに任意加入する意義を見出すことができます。
上記、年金機構が示した要件をよく見ると、「外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方も加入できます」という文言があります。
つまり、海外に住んでいれば60歳以上65歳未満の間も、「例え480月を超えていても任意加入できる」、と解釈できないわけではないです。
でも、それだと、「老齢基礎年金の繰上げをしていても」、「納付月数が480月以上でも」、「厚生年金に加入していても」、海外に居住する日本人ならば任意加入できることになってしまいます。
実際にはどのように運用されているのか、私にもわかりません。