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保険料強制徴収と財産差し押さえ

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国民年金の保険料の未納に対する財産の差し押さえなどは私が年金の勉強を始めた頃は、実際に執行されることはありませんでした。しかし近年では納付率の低下が問題化したため、保険料の未納に対して行政がかなり厳しく対応をするようになってきたようです。

とは言うものの、いきなり強制執行官が乗り込んできて、情け容赦なく預金や財産を差し押さえるようなことはなく、かなり慎重にいくつかの段階を踏んでいます。

国民年金保険料滞納処分の流れ

第1段階:電話連絡等、催告状の送付

電話案内や催告状で保険料を納めるよう連絡があります。また、戸別訪問も行われているようです。
この電話連絡や催告状には法的効力はありません。つまり放置しても罰則等はなく、逆に言えばこの時点で納付すればペナルティを科されることはありません。

第2段階:特別催告状の送付

催告状で催告をしても保険料を納めないと、次は特別催告状が送られてきます。上記の催告状の仲間で大した事ないと思いきや、文面はかなりエグいものとなっています。以下に抜粋を掲載すると、

期日までに保険料の納付または免除等の申請がない場合は、納付意思が無いものとみなして、遺憾ながら法に定める滞納処分を開始いたします。滞納処分が開始されると国民年金保険料に延滞金が課せられるほかあなただけなく連帯納付義務者である、あなたの配偶者や世帯主の給料や財産を差し押さえる場合がありますのでのあらかじめご承知おきください。

下線や太字は原文を忠実に再現したものですが、まるで「お前のかわいい妻子がどうなっても知らねーぞ」といった脅迫文のようです。

bullet保険料の納付義務者

世帯主と配偶者は保険料を連帯して納付する義務を負うとされています(国民年金法88条)。
従って配偶者や世帯主に対しても下記の督促がされた場合、滞納した本人と同様に財産の差し押さえ対象になります。

bullet特別催告状は絶対に放置しないこと

保険料の滞納処分は誰に対しても情け容赦なく行うのではなく、(今のところ)保険料を支払う能力があるにも関わらず、支払う意思がない人を対象に行うのをタテマエとしています。この段階ではまだ支払能力(=所得)の調査はまだ行われていないので、特別催告状が送られてきたからといって、全ての人が次の段階に進むわけではありません。

特別催告状が送付されてきたら必ずアクションを起こしてください。保険料を納める、あるいは免除・猶予申請をする。どちららも困難であれば年金事務所に相談に行く。この時点で手を打たなければ後々面倒なことになりかねません、放置は厳禁です。

なお、免除・猶予は申請から約2ヶ月後に審査が通ったかどうかの連絡が来ることになっていますが、審査期間中に強制徴収のプロセスが進むことはありません。

第3段階:最終催告状の送付

特別催告状が放置されると、ここから強制徴収のプロセスが開始されます。
まず、本人と連帯納付義務者である世帯主、配偶者の所得が調査されます。その結果、いずれかの人に一定以上の所得があることが判明した場合、「十分な保険料負担能力があり、度重なる納付督励を行ったにもかかわらず、保険料の納付がない場合」とみなされ、財産差し押さえのプロセスが進められることになります。

上記の特別催告状と何となく似ていると思われるかもしれませんが、その重みは全く異なります。いわば、督促・差押対象として確定しているわけですから、適切に対処しなければ強制徴収が行われてしまいます。

とは言うものの、やはりいきなり督促状を送りつけるようなことはせず、ここでも戸別訪問などを通じて納付の督励や意思の確認を行っているようです。

第4段階:督促状の送付

bullet督促状の効果1:強制執行の要件

強制的に財産を差し押さえる前に必ず督促状を送付し、保険料の納付を促す必要があると法律で定められています。この督促状に定められた期限までに保険料を納めなければ強制執行が行われる可能性が高くなります。

bullet督促状の効果2:時効の中断

保険料を徴収する権利は納付期限(翌月末)から2年で消滅、つまり時効にかかるのですが、督促状の送付によってこの時効が中断されて、そこからさらに2年間時効が伸びます。つまり2年ごとに督促状を送付すれば永遠に時効にかからないことになり、年9.2%の延滞金が加算され続けます。

第5段階:差押予告通知と財産調査

督促状の指定納期までに納付がない場合、本人と連帯納付者に対して差押予告通知が出され、同時に該当者の差押対象となる財産調査を実施します。
これはもちろん本人ばかりでなく、連帯納付義務者にも送付されます。

第6段階:強制執行

本人及び連帯納付義務者の以下の財産が差押の対象になります。

  • ・預貯金
  • ・売掛金
  • ・給与
  • ・生命保険解約返戻金
  • ・自家用車、など

また、悪質であったり、執行に困難を伴う場合は国税庁に権限を委任することができるとされています。

延滞金

さらに追い討ちをかけるように納期限の翌日から年9.2%(初めの3ヶ月間は年2.9%(特例基準割合による))の延滞金も加算されて徴収されます。この延滞金は督促状の納期限ではなく、本来の保険料納期限(翌月末)の翌日からの期間の延滞金が加算されます。なお、この延滞金は督促状の期日までに保険料を納めた場合は加算されません。

(現在、納付期限を過ぎた時点で督促なしで延滞金をかけることが検討されています。)

強制執行を避けるために

繰り返しになりますが、この様な強権的なことは「払えるのに払わない」人を対象としています。免除申請者はもちろん、免除対象にならない人も年金事務所に相談して払う意思が示した上で保険料を払えないこと明らかにすれば、むやみに強権的なことはしないと思われます。もちろんうそをついたり所得や財産をごまかすのはもってのほかですが。
ちなみに条文ではこの様に記されています。

  • 「期限を指定して、これを督促することができる」
  • 「国税滞納の例によってこれを処分(中略)することができる」

しなければならないではなくすることができるという点がポイントです。この手の条文は「しなければならない」とされているのが常ですが、国民年金保険料の滞納処分はかなり例外的な扱いとなっています。つまり何が何でも取り立てるわけではなく一定の裁量が認められているところが税金の滞納処分とは大きく異なる点です。

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