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株価の下落による年金額の減少

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平成28年2月15日の国会予算委員会で安倍総理から「想定の利益が出ないなら当然支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」との発言がありました。平成27年度中に年金積立金の50%を株式(国内株式、外国株式それぞれ25%ずつ)で運用する方針が決まったことも影響して、報道等で大きく取り上げられました。

株は上がることもあれば下がることもあるので、当然と言えば当然のことですが、運用の失敗によって私たちの年金減少につながる可能性を国家元首が明言したことはそれなりのインパクトがあったのでしょう。

そこで、ここでは株価の下落と年金額の減少の関係についてお話します。

年金の財源と給付形態

私たちに支給される年金の財源は、
1.国庫負担(税金)
2.現役世代の保険料
3.積立金(の取り崩し)
の3つからなります。

このうち、国庫負担は主に消費税が財源となっています。

日本の年金は積立て方式か?

日本の年金制度は賦課方式(現役世代が支払う保険料が直接年金受給者の年金として支払われる方式、仕送りのイメージ)が採用されている言われていますが、これは100%正しいとはいえません。

日本の年金は、当初積立方式(自分の支払った保険料を将来年金として受取る、貯蓄のイメージ)でスタートしましたが、政府が大盤振る舞いの年金給付を約束したため、積立方式を維持することが不可能になり賦課方式に移行しましたが、もちろん、ある日突然に賦課方式になったわけではありません。

賦課方式への移行を決めたときには、まだ圧倒的に「受取った保険料 > 支払う年金額」となっていたので、それ以前の積立方式の時代のストックと合わせて、どんどん積立金が積み上がっていきました。その額は約130兆円と言われています。

現在では「受取った保険料 < 支払う年金額」となり積立金を取り崩しはじめたようです。つまり積立方式と賦課方式が混在した形態となり、積立金がゼロになった時点で完全な賦課方式になります。

積立金残高の推移

年金積立金残高の推移イメージ

政府はこのような積立金残高のカーブを想定してます。取り崩しが始まっても積立金の残高が増加しているのは、積立金の運用益を見込んでいるためです
そのため、見込みどおりの運用益を得ることができなければ将来の年金額の比例して減少してしまいます。それどころか運用益がマイナスになってしまえば更に給付額は減ってしまうことは言うまでもありません。

株式で運用する理由と今後の見通し

では、老後の命綱である年金資金積立金の半分を、なぜ株式のような危険なもので運用するのでしょうか?
景気浮揚のための官製相場形成資金にされたとよく言われています。あるいは、年金資金を確保するために危険を覚悟でリスクの大きな株式で運用せざるを得なかったのかもしれません。

株式の投資経験が少しでもある方ならわかることですが、現代の株式相場は世界市場(主に欧米)と密接にリンクしています。2016年になって株が大幅に下落した原因は主に中国をはじめとする新興国の景気減速と原油価格の下落です。日本株といっても売買の主体は外国人なので、日本がいくら努力しても、彼らの意向次第でいとも簡単に日本株市場は崩れます。そのような危ない橋を渡ることに多くの人が懸念をしていました。

この記事を書いている今は2016年2月28日です。3月末(年度末)時点での運用成績が4月にはGPIFから発表されるはずです。外国証券も大量に買い込んでいるので、昨今の円高による為替差損でダブルの評価損が発生しているはずです。その額は数兆円、もしかしたらそれ以上かもしれません。(年度末のお化粧買いで無理やり評価損を圧縮するかも、と言った話も聞きますが)

このようなとき政府は必ず「運用成績は中長期の視点でみるべきで、目先の結果に一喜一憂すべきでない」と説明します。しかし20年にも渡ってデフレから脱却できず、今後は人類が経験したことがない超々高齢化社会が訪れるのに、日本経済=日本株は本当に大丈夫なのでしょうか?

海外に目を向けても楽観視できる材料はありません。先進国は軒並みデフレ状態、唯一好調だと見られていたアメリカも怪しくなり、利上げどころか再び金融緩和に舵を切るのではとの観測さえあります。新興国の成長は軒並み大減速、要するに世界的に需要が圧倒的に不足しているのです。今後の世界経済を牽引する要素が見当たらず、いつ需給バランスが改善されるのか全く見当がつきません。

確かに政府が言うように、目先の運用成績に右往左往するべきではありません。成績が悪いときだけマスコミで大きく取り上げられるため誤解されている方も多いようですが、これまでの実績は決して悪くありません。しかし、このタイミングで大きなリスクを取る運用方針に転換したとこが吉と出るか凶と出るか、これまでの累積収益を吹き飛ばしてしまうことがないよう、願うばかりです。

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