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年金離婚分割制度の将来像

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離婚した女性の現状

先日、車の中でラジオを聴いていたら、とある弁護士さんが気になることをお話していました。
仮に夫婦が離婚して他人になっても、その元夫婦の間に生まれた子にとっては父であり母であることに変わりありません。従って、どちらの親に引き取られようが(多くは母方に引き取られるようですが)親権の有無に関わらず、父も母も子が成人するまで等しく養育する義務を負うことは常識と知られています。

従って、子は母の元で育てられ、父は養育費として子が一定の年齢に達するまで約束した額を支払うというのが一般的ですが、多くのケースで本来支払うべき養育費が支払われていないらしいのです。

養育費の未払いが多い原因

そのようなことになれば、相手方の給与や銀行口座を差押える等の法的措置がとれるのではないかと考えるのですが、多くの場合、養育費についての合意を口約束等で済ませているからそれも難しいそうです。

問題はなぜそのような大切なことを口約束だけで決めてしまうか、ということです。その弁護士さんが言うには、冷静に話し合うこと自体が困難なケースが多々あるからだそうです。離婚にまで至った場合、「とにかく早く別れて今の苦しい状況から逃れたい」という気持ちが何よりも優先するそうです。同じ空間で同じ空気を吸うことが苦痛で苦痛で仕方がない状況ではまともな協議は困難、ドメスティックバイオレンスが原因の離婚ならば会うこと自体ほぼ不可能です。弁護士に代理人なってもらえばいいと思うかもしれませんが、もちろん少なからぬ費用が発生するので、誰もができることではありません。

実は私自身、まだ学生の頃、修羅場となった離婚を目撃したことがあります。ある身近な女性が離婚するときに、夫から身を隠すために子連れで我家に「避難」してきたのです。その夫は暴力を振るうようなことはありませんでしたが、事態は泥沼化して彼女は憔悴しきっていました。その後の家裁での争いも目撃しました。その女性は離婚から数十年経った現在でも強いトラウマになっています。だから、この弁護士さんが話していることがとてもよくわかるのです。

離婚分割の場合は?

前置きが長くなりましたが、ここでやっと年金の話になります。
離婚するときに協議しなければならないのは親権や養育費に限らず、財産分与も対象になります。その中でも年金の離婚による年金分割は多くの人に関わることですが、上記養育費問題のようなことが起こってもなんら不思議ではありません。つまり、まともな分割協議をすることができず、妻が泣き寝入りしてしまうケースが少なくないと推測できます。さらにやっかいなことに、この分割請求は離婚から原則2年という時効が設定されているので、その期間を経過すればなし崩し的に分割対象となっている年金は夫のものになってしまいます。

離婚の年金分割は下記2つの期間に分類されます。
①平成20年4月以降の3号期間
②上記を除く婚姻期間

この2つの期間の給与(標準報酬月額)及び賞与(標準賞与額)に基づく厚生年金が分割されます。このうち、①の期間については3号分割と言われ、分割に際して協議の必要がありません。従って、主に問題となるのはその他の婚姻期間に基づく分割です(合意分割といいます)。これについては協議のうえ、合意を形成しなければなりません。おそらく多くの女性が何年あるいは何十年も先の年金のことより、直面している目の前の苦痛から少しでも早く逃れるために協議を疎かにしていることは容易に想像できます。

離婚時の年金分割については下記のページで解説しています。

3号分割についても問題がないとは言えません。例えばドメスティックバイオレンスが原因で離婚に至った場合です。合意は必要なく、申請だけで自分の年金になるとはいえ、簡単にそのようなことができるでしょうか? 相手は自分よりも力の弱い無抵抗の女性に暴力を振るう人です。例え法律で定められた正当な権利を行使するだけでも、一方的に相手の年金を減らすことに変わりなく、多くの女性は逆恨みを恐れて躊躇するはずです。

離婚分割制度のあるべき姿

このような現状を憂慮してか、3号分割については申請不要で、離婚と同時に自動的に分割されることが検討されているようです。もし実現すれば、好ましいことではありますが、他の期間についても同様の措置があってもよいのではないでしょうか?

更に分割による権利を確実なものするには、最初から、つまり、離婚したときに分割するのではなく、毎月、婚姻中から分割してしまうことも考えられます。こうすれば離婚しなくても半分が妻のものになり、離婚したときでも分割で協議はもちろん申請の必要もないので、面倒なことは一切なくなります。

以前に私は、3号分割の特徴と問題点3号分割よりも合意分割をの記事で、相手方の同意なしで一方的に年金が分割される3号分割についてやや批判的な事を書きました。しかし、その内容は私の認識が甘かったと認めざるを得ません。また、年金も世帯単位から個人単位へと考え方を変える必要があると言われています。もしかしたら遠くない将来、分割制度が変わるかもしれません。

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