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離婚と老齢年金の関係

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離婚したときの年金というと「離婚時の年金分割」くらいしか気にかけないと思いますが、その他にも知っておいたほうがよいことがいくつかあります。ここにまとめておきますので、よろしければ参考にして下さい。

離婚時の年金分割

このサイトで何度も取り上げているトピックなので、ここでは、ごく簡単な説明にとどめておきます。
離婚時の年金分割の対象になるのは老齢厚生年金のみです。しかもその全てが分割の対象となることはまれで、多くの場合分割されるのはその一部だけです。

しかも、相手方の半分を受取れるわけではなく、最高でも相手方と同額にしかなりません。つまり、厚生年金の加入暦が全くなく、老齢厚生年金がゼロであれば相手方の老齢厚生年金の半分を受け取ることができる可能性がありますが(あくまでも可能性でしかありません)、自分の老齢厚生年金との差が少しであれば、分割協議の対象となる額もわずかしかありません。自分の方が多ければ年金額が減ってしまう可能性さえあります。

離婚時の年金分割については下記のページで詳しく解説しています。

3号から1号への種別変更

婚姻期間中には国民年金の第3号被保険者に該当していた人(主に専業主婦)は、離婚日と同じ日に国民年金の第2号被保険者に該当する場合を除き、国民年金の第1号被保険者になります。これまでと違い手続も自分で行わなければなりません。

3号と異なり保険料も自分の負担になります。1号期間と3号期間は年金に反映される額が同じなので実質的に受取る年金額は目減りすることになります。

手続、届出

離婚後に厚生年金に加入しない場合はもちろん、すぐに働くときでも離婚日後に就職するときには3号から1号への種別変更届を14日以内にして下さい。窓口は居住地市町村の国民年金課になります。

加給年金と振替加算

残念ながら、ここでも年金が減る話になります。
年金の中には配偶者によって生計維持されていることが要件のものがいくつかありますが、その中でも特に多く方に関係するのが老齢厚生年金の加給年金と特別加算になります。

この配偶者がいるために支給される加給年金は、離婚すると終了になります。但し、配偶者に対する振替加算は一旦支給の要件を満たせば、離婚によって加算が終了することはありません。もちろん支給要件を満たす前に離婚してしまえばもらえないので、振替加算の要件を満たしている人は65歳になって振替加算を確保してから離婚すれば、多少なりとも年金額が増えることになります。(但し、離婚時の年金分割に離婚時みなし被保険者期間が加算されることにより、振替加算が支給停止になることもあります。)

シミュレーション

ご存知のように上記以外にも、離婚をしないで婚姻関係を継続して、配偶者が先に死亡すれば配偶者が受給していた老齢厚生年金を引継いで遺族厚生年金を受給することができます。夫、妻ともに平均寿命(男性:80歳、女性:86歳)まで生存し、妻と夫の年齢差が3歳(夫が年上)である場合の年金額をシミュレーションしてみます。その他の要素については以下のような設定とします。

老齢厚生年金受給開始年齢:夫、妻ともに65歳
老齢厚生年金(夫):50万円 *1)
老齢厚生年金(妻):10万円 *1)
老齢基礎年金(夫、妻):80万円
夫:会社員
妻:結婚当初は会社員、後に専業主婦

*1)
条件を簡略化するために、老齢厚生年金は全て婚姻期間中の給与に基づくものとします。

事例1:離婚しないとき

離婚しないときの老後の年金

離婚しなければ加給年金、振替加算、に加えて遺族厚生年金を受給できます。また離婚分割による夫の老齢厚生年金の減額がないため夫妻合計の年金額は最も多くなります。

なお、振替加算については、妻が昭和25年生まれの場合の額を示しています。生年月日が遅くなるにつれて振替加算の額が減少し、昭和41年4月2日以降はゼロになることを考慮してください。

事例2:妻が50歳のときに離婚

妻が50歳のときに離婚した場合の老後の年金

ここでは妻の年金が最も多くなる比率で老齢厚生年金を離婚分割した場合を想定しています。そのため、妻の年金総額は約2310万円になりますが、離婚後に第1号被保険者になったときには国民年金の保険料を自分で負担しなければなりません。その額は50歳から60歳までの10年間で約180万円です。離婚をしないで3号のままでいれば保険料の負担がなく、受取る老齢基礎年金は同額であることを考慮すれば、この180万円は実質的な年金額の目減りに相当します。なお、この実質的目減りを防ぐためには離婚を60歳まで待てばよいことになります。

その一方で上記図表のとおり、夫が受取る老齢年金の額は大幅な減額となります。

事例3:妻が65歳のときに離婚

妻が65歳のときに離婚した場合の老後の年金

離婚分割による年金は上記事例と同じとします。この事例では60歳まで3号であったため老齢基礎年金の保険料負担がありません。また、受給初年度から夫からの分割で増額となった老齢厚生年金を受取ることができるので、妻に分割される年金額は増えますが、その増額分は夫が受取る年金の減額になります。

振替加算は自身の厚生年金被保険者期間と離婚時みなし被保険者期間を合わせて240月以上になると支給されません。

離婚による年金分割を受けるときは、老齢厚生年金受給開始から離婚までの期間が長くなるほど生涯の老齢厚生年金受給総額は減ることになります。

まとめ

離婚をすると、生計維持を受給要件とした加給年金を放棄してしまうことになります。離婚による年金分割で年金額が増える人でも、その分、元配偶者の年金が減ってしまいます。もちろん遺族厚生年金もありません。

振替加算も離婚による年金分割を受けると支給停止になることが多く、婚姻時には3号であった人が1号になると、国民年金の保険料は自分で負担しなければなりません。

また年金とは直接関係ありませんが、2人で生活した方が1人あたりの生活費はかなり安くつきます。離婚の決断はくれぐれも慎重になさってください。

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