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厚生年金適用拡大の影響

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改正の目的

平成28年10月からの厚生年金適用拡大にあたり、厚生労働省では以下の目的を掲げています(原文のまま)。

・被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正。
・社会保険制度における、働かない方が有利になるような仕組みを除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える。

要約するとこんなところでしょうか。

  • 1.フリーター等の非正規労働者の無年金化防止
  • 2.女性の社会進出を後押し

改正の影響と問題点

ここで問題になるのが企業側の負担です。厚生年金の被保険者が増えると厚生年金と健康保険の保険料の半額を負担しなければならない社員が増えるので負担が増すことになります。今でさえ人を雇う上で社会保険料の負担が障害と言われているのに、更に人件費が増加することになります。

ex.毎月の給与が10万円(ボーナスなし)の場合

  • 厚生年金保険料:98,000 × 16.766% = 16,430円
  • 政管健保保険料:98,000 × 9.97% = 9,770円

以上の合計を従業員と会社が半分づつ負担、従って...
新たに被保険者となった従業員一人につき、毎月約13,000円の人件費増
年間で約156,000円の人件費

今回の改正は従業員501人以上の企業が対象です(将来的には従業員数に関わらず対象となる見込みです)。仮に新たに100人が厚生年金の適用を受ければ実に1500万円以上の利益、しかも現金が吹き飛ぶ計算になります。1000人なら1億5000万円...
1000人は大げさと思われるかもしれませんが、ファミリーレストランなど、大手外食チェーンではそれくらいになるかもしれません。

企業側もできる限り厚生年金の適用を受けない労働時間に抑えることになります。パートさんも所得を抑えれば第3号被保険者のままでいられるし、所得税の配偶者控除(103万円の壁)も受けられるので両者の思惑が一致して、むしろ就労意欲を妨げることになる可能性もあります。この改正が500人以下の企業にまで適用が広がれば、これを機に廃業するところも必ずでてきます。そうなると就労意欲どころが就業機会を失ってしまいます。

本質的な問題を先送りしないことが大切

そうは言っても、この様な措置はやはり必要であると思います。小泉改革以来、非正規労働者が増加してこれまで正社員が担ってきた仕事の多くがパートやフリーターに置き換えられました。その過程で企業側もずいぶん非正規労働者を都合よく利用してきたので是正しなければなりません。ただ今回の改正では中途半端な感が否めません。

本気で問題に取り組むためには国民年金保険料の税方式、第3号被保険者制度の見直し、現在年金を受け取っている人たちの給付水準の見直し等を含めた抜本的で包括的な改革が不可欠です。しかしこれらはどれも利害が複雑にからみ、どの政権も触れることができません。結果、今回の改正のような手直ししかできないのは残念なことです。

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