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離婚時みなし被保険者期間

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離婚したときの年金分割は、婚姻期間中の標準報酬の分割(改定)によって行われるのですが、1つ問題があります。厚生年金の額は(平均報酬(月)額×厚生年金の加入月数×給付乗率)によって求められます。従って分割を受けた(受け取った)月については全て厚生年金の被保険者期間でなければ計算が合わなくなってしまいます。

しかし年金記録で標準報酬を受け取った月が厚生年金の被保険者でないこと、例えば第1号被保険者第3号被保険者である場合、あるいは20歳前や60歳以降で国民年金の被保険者でないこともあります。そのため、これらの期間を離婚時みなし被保険者期間として、厚生年金の被保険者期間に準ずる期間として扱うこととなりました。

離婚時みなし被保険者期間とは

合意分割における第1号改定者(標準報酬を渡す側)が厚生年金の被保険者であって第2号改定者(標準報酬を受け取る側)が厚生年金の被保険者でない期間は、第2号改定者の離婚時みなし被保険者期間となります。

離婚時みなし被保険者期間の扱い

厚生年金の被保険者期間は、①年金額を計算するときと、②受給要件を判定するときに使われます。原則的に、年金額を計算するときには離婚時みなし被保険者期間は厚生年金の被保険者期間と同様の扱いとなりますが、受給要件(受給資格期間)を判定するときには被保険者期間とはみなされません。

老齢厚生年金

老齢厚生年金の額を計算する際には被保険者期間として扱われますが、受給資格期間を満たすための保険料納付済期間にはなりません。その期間が第1号被保険者で保険料を納めず、免除も受けていなければ未納期間となります。保険料納付要件を満たすことができなければ分割で受け取った老齢厚生年金も合わせて受給できなくなります。

60歳代前半の老齢厚生年金

上記の保険料納付要件に加えて1年以上の厚生年金被保険者期間が必要ですが、離婚時みなし被保険者期間はふくめることができません。

老齢厚生年金の加給年金

加給年金を受給するには厚生年金被保険者期間が20年以上必要となります。しかしこの受給に必要な20年に離婚時みなし被保険者期間をふくめることはできず、自身の期間だけで20年を満たさなけばなりません。

振替加算

振替加算は被保険者期間が20年以上の老齢厚生年金が受給できるときには支給されませんが、こちらは上記の加給年金とは逆に離婚時みなし被保険者期間が加わり被保険者期間が20年以上なれば、振替加算は行われません。年金の分割を受け、離婚時みなし被保険者期間が加わったことで逆に年金総額が減ってしまう可能性がないわけではありません。

障害厚生年金

障害厚生年金の受給権者が分割改定を受けたとき、300月みなしで年金額が計算されているときには離婚時みなし被保険者期間の標準報酬は計算の基礎にふくめません。

(障害厚生年金の額は「平均報酬(月)額×被保険者月数×給付率」になりますが、この月数が300月に満たないときには被保険者月数を300月とみなして計算されます。離婚時みなし被保険者期間の標準報酬は基本的に少ないため、この期間をふくめて平均標準報酬(月)額を計算すると、平均報酬(額)が下がり、その結果、障害厚生年金の額が低下してしまう事態を避けるためにこのような措置が取られています。)

遺族厚生年金

遺族厚生年金の受給要件の死亡日要件のうち長期要件によって支給される遺族厚生年金については、みなし被保険者期間の標準報酬も年金額の基礎となります。更に、厚生年金の被保険者期間がなく、離婚時みなし被保険者期間だけに基づく老齢厚生年金の受給権者が死亡したときも老齢厚生年金の受給権者の死亡とみなされて、長期要件の遺族厚生年金が遺族に支給されます。

300月みなしについて

離婚時みなし被保険者期間を300月みなしの障害厚生年金に適用しない理由について説明しましたが、300月みなしが適用される年金は上記の場合に限りません。分割改定後に障害認定日がある場合の障害厚生年金や、短期要件による遺族厚生年金についても離婚時みなし被保険者期間によって300月みなしの年金額が減少してしまう可能性が高くなります。

しかし、このような場合には離婚時みなし被保険者期間についての除外規定が見当たりません(いろいろと探してみたのですがありませんでした)。この点が気になるのですが、このことで何か分かり次第、あらためてご報告します。

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