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統合失調症と障害年金

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厚生労働省のホームページで興味深い社会保険審査会の裁決を見つけたのでご紹介します。

このサイトでも幾度となく障害年金の初診日を特定する難しさについて触れてきましたが、特に精神障害については初診日の特定は多くの困難を伴うことが珍しくありません。初診日がいつになるかによって初診日要件
保険料納付要件満たしたり、あるいは満たさなくなることもあります。また、障害厚生年金の場合は年金額にも影響を及ぼします。

障害年金の初診日については下記のリンクを参照してください

審査の経緯

この裁決例では、統合失調症の初診日の認定が重要な論点となっています。
この障害年金を申請した方は、統合失調症と診断された当時、障害基礎年金の受給要件を満たしていませんでした。

障害基礎年金の裁定請求(通常の申請)と、後の社会保険審査官による審査では統合失調症との診断を受けた日が初診日であるとして不支給の決定がなされました。

これに対して申請者は初診日は20歳になる前であるとの主張をして、社会保険審査会で主張が認められたのがこの決裁書の要旨です。(初診日が20歳前の障害基礎年金は保険料納付要件が問われません。)

統合失調症の初診日

このような結論に至った根拠となる部分の要旨を抜粋します。少々長くなりますが、大変重要なポイントが多くふくまれているので関係する方は、下記の全文についてぜひ目を通してください。

統合失調症は内因性の精神病で、発病が最も多いのは17歳から27歳頃までであるとされ、その経過は通常、前駆症状として、神経衰弱状態を呈し、強迫症状、抑うつ状態や本件の場合のように不眠症を示すこともあるが、その段階においては妄想知覚や妄想着想といった統合失調症に特徴的な症状は出現せず、この時期に診断を受けた場合には、神経性障害、うつ病、本件の場合には、「神経性不眠症?」などと診断されやすい。このような状態で数回ないし数年(多くの場合は長くとも5、6年)間が経過するうちに、上記のような統合失調症に特徴的な症状が現れ、統合失調症の確定診断がなされる。前記1の(8)の保険者の代理人の確定診断をもって統合失調症の初診日とするとする見解は、その前駆症状段階で統合失調症との病識を得ることが困難であり、その病識がないまま確定診断を受けるまでに長い期間が経過するという統合失調症の特徴を無視して、その発症と確定診断の間が近接している多くの身体疾患同様に確定診断日をもって初診日とすれば、社会保険制度として相当でない結果になることを考慮しない、失当なものである。

ポイントは以下の3つです、
①統合失調症は通常、神経衰弱等の前駆症状が発生する
②妄想知覚や妄想着想といった特有の症状が出現するのは、その後になる
③発症から確定診断まで長い期間を要することを考慮しなければならない

以上の理由から、統合失調症と診断されたときを初診日とするのは誤りで、20歳になる前に前駆症状で診察を受けた日を初診日とするべきであるとの裁決が下されたのです。

なお余談めいたことになりますが、このように初診日が大きく遡ることは必ずしもよいことばかりではありません。場合によっては通常の障害基礎年金が受給できずに20歳前障害の障害基礎年金になったり、あるいは障害厚生年金が受給できなくなること等も考えられます。

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