スポンサーリンク

同日得喪と在職老齢年金

Pocket

同日得喪制度導入の背景

現在では再雇用制度が一般化し、60歳を過ぎても継続雇用されることが多くなりました。ただそのような場合でも多くは一旦退職という形を取り、改めて雇用契約を結び直すのですが給与額は60歳になる前に比べて大幅に減少するのが一般的です。そのため、所得が減ってしまう上に更に困ったことが起きてしまいます。

給与が下がっても直ぐには社会保険の保険料は安くなりません。保険料の計算の基礎となる標準報酬月額は、随時改定もしくは次の定時決定まで据え置かれ、受け取っている給与に比べてかなり割高な保険料を負担しなければなりません。保険料の負担は事業主との折半なので、事業主にとっても痛手となります。

同日得喪とは

このようなことが起こらないよう同日得喪をすることができます。
具体的には(仮の)退職日の翌日、厚生年金被保険者の資格を喪失するのですが、同時に、つまり同じ日に喪失して新たな資格を取得するので同日得喪と言われています。

同日得喪の効果

同日得喪の届けを行うことによって、その月から標準報酬月額が改定され、翌月から改定された標準報酬月額で在職老齢年金と保険料(厚生年金、健康保険)が計算されます。例えば、5月20日付けで一旦退職、間を空けずに再雇用された場合には翌21日に同日得喪、6月から変更された標準報酬月額が適用されます。

従って、月末日が(仮の)退職日のときには翌月初日に同日得喪となり、低くなった標準報酬月額が適用されるのは退職日の属する月の翌々月からとなります。

届出が必要

同日得喪によって標準報酬月額を変更するには資格の喪失届と取得届を同時に提出するのですが、その際には一旦退職になった事と再契約する事を証明する書類が必要となります。年金の事務方は厚生年金の加入者がどのような雇用契約を結んでいるかを知る由もないので、届けをしなければ同日得喪が行われません。

同日得喪は義務ではなく権利

再雇用契約によって給与が増えることもあります(役員として再契約する場合等)。そのような場合は随時改定定時決定で保険料が変わるまで待てばよく、あえて同日得喪の届けをする必要はありません。同日得喪は義務ではなく権利だと覚えておくとよいでしょう。

同日得喪の要件

60歳以降に退職し、同じ会社に継続して(1日も間をおかずに)再雇用となった厚生年金、健康保険の被保険者が対象となります。
かつては60歳代前半の老齢厚生年金を受給できる人(60歳~64歳)が定年を理由に退職するときにしか同日得喪はできませんでした。しかし改正によって、
①60歳代前半の老齢厚生年金を受給できなくても可
②定年以外の理由で再雇用となった場合も可
③再契約のたびに、何度でも申請できる
④70歳以降で健康保険の被保険者のみとなった場合でも適用される
こととなりました。

現在は既に男性の老齢厚生年金は60歳からは支給されません。この改正がなければ年金はもらえないのに保険料は高い給与を基準として計算され、しかも給与は減ってしまうという3重苦に陥るところでした。また、再契約の度に同日得喪ができるだけであって、不利になるようであればもちろんしなくてもかまいません。

在職老齢年金との関わり

この同日得喪は、もともと在職老齢年金による年金の減額幅を押さえて年金の手取り額を多くするための施策で、60歳代前半の老齢厚生年金を受給できることが申請の要件とされていました。しかし、60歳になっても老齢厚生年金が受給できない時代になり、再雇用が繰り返される労働契約が一般化するにつれ、制度の中身も趣旨も大きく変わったように見受けられます。

注意点

標準報酬月額が変わることによって、健康保険の傷病手当金の額も変わることに注意してください。傷病手当金の計算の基礎となる標準報酬月額が少なくなれば、受給できる傷病手当金も減少します。

Pocket

スポンサーリンク

サイト内検索

スポンサーリンク